人間の言葉を話すことで知られるインコ類が、ブラジル国内外での違法な野生動物取引の被害や生息地の減少により、生存危機種のリストに載った。ブラジル動物園協会が、大西洋岸森林地帯に分布するインコ2種の保護のため、食料と繁殖場所を確保する企画「インコ類(パパガイオ)の年」を発表した。
「アカオボウシインコ(パパガイオ・デ・カーラ・ロッシャ)」と「ブドウイロボウシインコ(パパガイオ・デ・ペイト・ロッショ)」は古い密林に生息しており、樹の空洞(ムロ)で繁殖するが、空洞の出来る樹木は既に成熟したもので、必ず伐採される。ブドウイロボウシインコは主食とする松の実の減少により、食糧危機にも瀕している。
1998年に始められたアカオボウシインコのモニター観察研究は既に、個体の減少を食い止めるのに貢献している。当時確認されたアカオボウシインコの生息数は、パラナ州沿岸の約5千羽のみだった。アカオボウシインコの個体数調査の責任を負う「環境教育と野生動物の調査協会」の研究者は、空洞をもつ樹木が減少していたため、インコ類が繁殖できるよう、穴付きの木製の巣箱を用意し始めた。また、野生の鳥を捕獲売買するのを減らすためのキャンペーンも行った。
今年の個体数調査によると、大西洋岸森林地帯全体で6万5千羽が確認された。サンパウロ州南部の沿岸で生息する数も入れると、総数は8380羽に達している。このような地道な努力によって、アカオボウシインコの名前は14年に環境省が作成した生存危機種のリストから削除された。
保護活動のリーダーを務める生物学者のエレニーゼ・シピンスキ氏は「生息数は増えたが、まだ注意が必要な種だ。確認できた生息数は1万羽以下で、我々が数え切れていない分を入れたとしても、決して大きな数ではない」と語った。
インコの登録数は「生息エリア」と呼ばれ、インコ類が睡眠をとるための安全が確保された地域で記帳されたが、エレニーゼ博士によると、今年はパラナ州やサンパウロ州南部の沿岸や岬で一日を過ごし、食料を得ているインコが沢山いる事が確認されたという。これらの地域は現在、新しい港の建設が計画されている。
「(港の建設は)植物やアカオボウシインコにも大きな影響を及ぼすでしょう」とエレニーゼ博士は語った。
ブラジル南部では、ブドウイロボウシインコもパラナ松の減少による食糧危機に苦しんでいる。アカオボウシインコは、バイーア州からリオ・グランデ・ド・スル州にかけて、アルゼンチンのミシオネス州、パラグアイ南部などで生息しており、寒い高地にできる松の実を好む。
生息地域が広く広がっているため、研究者らは「インコ類は多数存在しており、生存危機に陥ることはない」という共通認識を持っていた。だが、パッソ・フンド大学(リオ・グランデ・ド・スル州)の生物学者夫婦がインコ類の生存数調査に踏み切ったところ、インコ類が予想以上に減少している事が判明した。
調査が行われた年、同地域では、ブラジル全土の93%に及ぶ、3920羽しか観測されなかった。この60%は、現在も松の木が多く残るサンタ・カタリーナ州の山地に生息している。同種の調査は2年程前から行われているが、調査区域は今年より小さかった。今年の個体調査では、ブドウイロボウシインコの生息地域の90%を対象としている。
研究者のジャイメ・マルチネス氏は「インコ類が減少の危機に脅かされている事に驚いた」と語っている。ブドウイロボウシインコは国際自然保護連盟(IUCN)が作成したレッドリストの「絶滅危惧種」に分類されている。
減少の主な理由は松の減少、伐採による巣作りが出来る樹の減少、違法な野生動物の取引によるものだ。現在、化粧品会社のボチカーリオ基金の後援で、インコ類の巣にする木箱を作るキャンペーンと同様の植樹キャンペーンが展開されている。マルチネス博士は「インコ類はさらに減少するでしょう。植樹した松が実を結ぶようになるのには15年かかります」と予測している。
ブラジルに残る松の原生林は3%で、その内の25%はサンタ・カタリーナ州にある。(7月30日付エスタード紙より)
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