世界中で配信中の携帯電話用ゲームアプリ「ポケモンGO」がブラジルで発表され、38番目の配信国となった。
「ポケモンGO」は1996年に発売されたゲーム「ポケットモンスター」シリーズの一つ。一カ月前にアメリカのゲーム会社「ナイアンティック」が発表し、ブラジルではリオ五輪直前の3日に配信が開始された。
多くのファンを持つ「ポケモン」シリーズの同ゲームは、GPSや立体映像などの新技術を用い、既に配信された国で爆発的な人気を記録した。ブラジルでも潜在的な利用者の多さが予測されて配信が決定したが、同時に安全面が危惧されている。
携帯アプリの市場調査分析会社「アップアニー」の調査では、同ゲームは既に1億回ダウンロードされ、日々1億USドルの利益が出ている。
ブラジルへの配信が遅れていたことに対し、ナイアンティックの最高経営責任者ジョン・ハンケ氏のソーシャルメディアアカウントが「OurMine」と名乗るセキュリティーグループに乗っ取られる事件も起き、米国やカナダなど「ポケモンGO」が既に配信された国の五輪出場選手はブラジル到着後、自身のソーシャルメディアでブラジルに同ゲームが配信されていないことを伝えていた。
同ゲームはスマートフォンのカメラで画面に写した風景の中に現れる「ポケットモンスター」を捕まえ、育成強化するもの。
「拡張現実(画面に映る風景に説明や絵など情報が加えられる技術)の技術が使われたサービスは、試験使用されたことがあったが、利用者数が爆発的に増えるには至らなかった。スマートフォンはその結果を変えた」と語るのは、ブラジル・ゲーム・ショー主催者のマルセロ・タヴァーレス氏だ。
また、バイーア州立大学の仮想世界コミュニティ研究者グループの一人で歴史学者のエリオム・ヴィアナ・テレス氏は、「『外に出よう』という同ゲームの目的はゲームの歴史を変えた。モンスターを捕まえるという簡単な発想が人々を外出させ、新しい外での遊び方を与えた」と断言した。
現実世界で仮想映像を映し、「ポケモン」捕獲に熱中するあまり、事故や強盗に巻き込まれるなどの報告もあり、ブラジルでも配信開始当日に強盗の被害が報告された。
3日午後10時、パウリスタ大通りで「ポケモン」を捕まえようとしていたジョゼ・イラリオ・ジュニオルさん(32)が外国製の自転車に乗った泥棒にスマートフォンを奪われた。イラリオさんは同シリーズのアニメの大ファンで、同ゲームを楽しめるよう、強盗に遭う2時間前にスマートフォンを購入した。
自身のフェイスブックページで強盗被害の報告をした後、「ポケモンGOで遊ぶのは止めない。保険に入っていたから4日に新しいスマートフォンを受け取れる。そうしたらまた遊ぶけど、安全のために、もっと多くの仲間と一緒に歩く」と投稿した。
同日はエスピリトサント州でも強盗被害が起きた。犯人は午後8時半、屋外で友人と「ポケモンGO」で遊んでいた14歳の少年に銃を見せて脅し、スマートフォンを奪った。被害者の両親は被害を報告すると共に、子供達に注意するよう、親達に呼びかけた。
一方、セアラー州フェルタレーザでは、失職中の元モトボーイが、「ポケモンGO」利用者向けのバイクタクシーという新しい商売を始めた。
デニス・フレイタス・パエスさん(32)は先月、15年勤めていたモトボーイの会社を解雇された。3日午後、「ポケモンGOフォルタレーザ」というフェイスブックページに自身のワッツアップの番号と新しい仕事について紹介する文を投稿した。
危険な地域を除き、バイクで「ポケモン」の捕獲場所に連れて行くというものだ。一時間25レアルで、フェイスブックの投稿には300人から反応があったがいまだ利用者はいない。パエスさんは「投稿日の夜に多くの人から仕事についての質問が寄せられた。すぐにお客さんが出来る」と前向きに語った。(2日付Cネットジャパン、4日付フォーリャ紙、G1サイト、オ・ポーヴォ・オンラインより)