上院で9日から10日未明にかけて、ジウマ大統領の弾劾裁判を進めるか否かの全体投票が実施され、59対21で可決した。これにより8月25日より、ジウマ大統領の弾劾裁判が行われることとなった。10日付伯字紙が報じている。
上院本会議は9日の午前9時45分から約15時間かけて行われた。昨日も報じたように、労働者党(PT)を中心としたジウマ派の上議はその冒頭で、リカルド・レヴァンドウスキー最高裁長官に八つの質問を投げかけ、投票を無効にしようとしたが、受けいれられなかった。
その後、報告官のアントニオ・アナスタジア上議(民主社会党・PSDB)によって、「ジウマ大統領が議会の承認もなく、憲法で認められている額を超える支出を認めたことや、ブラジル銀行などから違法の借り入れを行って政府会計の実態を隠し、恩恵を得ようとしたことは、財政責任法に違反しており、罷免に値する」とする意見書の概要説明が行われた。
続いて、上議の希望者による見解表明(持ち時間10分)が行われた。希望者は当初55人いたが、最高裁長官から審議が長引いた場合はいったん打ち切り、10日に投票を行うとの提案があったため、PSDBはアエシオ・ネーヴェス上議が党を代表して語るなどの工夫をしたことで、48人による表明となった。
それが終わった時点で既に午後11時近かったが、そこから30分で罷免を求める原告側、被告側が各々30分間、見解を話した。
投票は既に10日未明となっていたが、エリゼウ・パジーリャ官房長官の予想通り、アナスタジア上議の意見書は賛成59人、反対21人、未投票1人で承認された。
これにより、過半数の41人を大きく超える形で弾劾裁判の実施が決定し、ジウマ大統領は被告となった。1992年にはフェルナンド・コーロル元大統領が弾劾裁判の被告となっており(有罪判決が下る直前に辞任)、ジウマ氏は88年の新憲法成立以降2人目の大統領被告となる。
弾劾裁判では上院の3分の2にあたる54人以上の賛成があれば罷免が成立するが、既に59人の上議が弾劾裁判実施に賛成しており、ジウマ氏の立場は苦しい。
また、下院では9日、エドゥアルド・クーニャ前下院議長に対する本会議での罷免投票実施を、ジウマ大統領の弾劾裁判問題がひと段落した後の9月12~16日に行うことを決めた。
この案はクーニャ氏の会派の「セントロン」が以前から求めていたが、ロドリゴ・マイア現議長の民主党(DEM)やPSDB、ブラジル社会党(PSB)の旧野党勢の賛同で正式に決まった。
この背景には、同じ民主運動党(PMDB)のクーニャ氏の罷免が先に行われれば、セントロン議員が多い進歩党(PP)や社会民主党(PSD)の上議らがジウマ大統領の弾劾裁判で謀反を起こしかねないことを懸念するテメル大統領代行の根回しがあったといわれる。
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