社会経済開発銀行(BNDES)の今年上半期の決算が、2003年以来となる赤字を計上したと、13日付伯字紙が報じている。
16年1―6月のBNDESの赤字は21億7400万レアルに及んだ。昨年同期は35億レアルの黒字だった。
BNDESが今回、大幅な赤字となったのは、同銀行の取引先が債務不履行に陥ったりして生じる信用リスクをカバーするための貸倒引当金として96億レアルを計上したためだ。昨年同期のこの勘定の計上額は16億レアルだったから、6倍に増えたことになる。
BNDESが今回信用リスクの見直しを行った企業への貸付額の総計は44億レアルに達しており、貸倒引当金を増額せざるを得なかった。信用リスクの見直しは6カ月毎に行われる。
BNDESによると、貸倒引当金の増額は、同銀行が貸付を行っているブラジル企業の国際市場での格付け低下で、時価総額が大幅に落ち、融資返済が不能となる可能性が高まったためだ。
特にそれが目立つのは通信大手のOiで、15年6月時点の時価は2億2950万レアルだったが、16年同月は7340万レアルに落ちた。BNDESはOiの資本の4・63%を所有しており、同社にとっては、33億レアル分の担保を持つ唯一の債権銀行だ。
また、6月30日現在の30日以上の債務の返還遅れは全体の1・38%となっている。昨年同期は0・02%だったから、60倍ほど増えたこととなる。
ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)調査員のマウリシオ・カネード氏は、BNDESが短期間で信用リスクの見通しを引き上げる可能性は少ないと見ており、「同行が近日中に今回のような大幅な見直しを行う必要が生じるほど急激に経済状況が悪化することは難しい」と分析している。
また、今年上半期の企業への資本参加額は588億レアルに達し、昨年同期比で12%増えた。このうちの84億レアルはペトロブラス、エレトロブラス、ヴァーレの株価上昇に伴うものだ。