リオ五輪運営のために働くボランティアが仕事に参加する率は70%とされている。リオ五輪組織委員会は、会場内での需要に応えるには充分な人数だとしているが、なぜ、不参加者が多いのか、その理由は知られていない。17日付G1サイトが報じた。
G1記者はボランティア参加者3人から、なぜ五輪会場での仕事に行かなくなったのかを聞きだした。それによると、仕事を辞めた主な理由は、ボランティアたちをまとめるリーダーの不在や政治的な面からの制限、各国選手団団長らの横柄な態度だという。
あるポルトガル人の女性教師は、リオ五輪に参加するという夢を実現するためにボランティアに応募したが、計画通りにいかず、リオデジャネイロ市に来た費用などで、6千USドルを損失したという。
ボランティア登録の際は、大学で専攻した、スポーツのイベントの運営に関し、さらなる知識と経験を得る事を目的としていたが、実際に配属されたのは、マラカナン会場の技術分野だった。
自身の専門分野でないにもかかわらず仕事を受け入れ、指定された場所に行ったところ、初日は「誰からのサポートや指示も受けなかった」し、「2日目は部屋には誰も居なかった。その挙句、なにもすることがないから帰ってくれと言われた」と振り返る。
彼女の要請で、リオ五輪組織委員会は外国人を相手とする部門に配属しなしたが、新しく指示が出るのを待つよう頼まれたが、何の指示もないまま、ブラジルを離れる事になった。労働証明書も受け取れなかったが、五輪委員会は後日、証明書の発行を約束した。
リオ市出身の女性通訳は、各国の五輪委員会の会長やメンバーと直接やり取りする立場に置かれたが、対応した人々の態度のせいでリオ五輪でのボランティアをやめた。
通訳たちは、スマートフォンのインターネットアクセスの問題などの解決まで要求され、英語を喋れない運転手と連絡を取ったりする責任も負わされた。
「私たちは車の予約なども担当したが、運転手が時間に来ないといった問題まで私たちのせいにされ、非難された。訓練では『あなたたちは各国の委員会の長やメンバーと直接触れ合い、一番重要な役割を果たす』と説明されたが、実際には彼らのサービス係りとして扱われ、望まない結果になった時は怒鳴りつけられた。五輪運営の内実を知る良い機会になった」と語った。
仕事中は休憩する暇もなく、あるボランティアは五輪組織委員会のために12時間働いた。そのボランティアは食事さえ取らず、運転手と駐車場で待機していたが、五輪組織委員会にこのような勤務実態を知らせ、改善を求めようとはしなかったという。
ルイス・モレイラさん(25)は、ボランティアとしての仕事をはじめる前に、競技中に抗議する男が退場させられるところを見てボランティアをやめた。
「ある家族の父親が試合中に抗議して退場させられたビデオを見て、その場面が頭の中に焼きついた。翌日、ボランティアとしての制服を着ようとした時、ここを立ち去るべきだと考え直した。大学の社会コミュニケーション学部で表現の自由とその価値を学んでいる立場上、理想を守るため、ボランティアとしてオリンピックに参加するという夢をあきらめた」と語った。
モレイラさんは五輪組織委員会に辞めたいと伝えるために電話を掛けているが繋がらず、制服も返却できない。委員会がメールに応えて来なければ制服を寄付することも考えている。
リオ五輪組織委員会はボランティアの欠員や追加採用は予想された範囲内で、ボランティアが足りない部門があれば、再配置もしているという。
ボランティアの担当責任者はボランティアが辞めた理由は知らないが、「ボランティアだから、参加を約束しても強制はされない」と説明している。(17日付G1サイトより)
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