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壮麗に幕を閉じたリオ五輪。閉会式の様子(Foto: Fernando Frazão/Agência Brasil)
壮麗に幕を閉じたリオ五輪。閉会式の様子(Foto: Fernando Frazão/Agência Brasil)

視察で鮮明「山の高さ」=東京五輪に世界の目=トップ交代で連携不可欠

 【共同】リオデジャネイロ五輪が21日に閉幕し、世界の目はいよいよ2020年東京五輪に向けられる。東京の組織委員会は現地に派遣した183人の視察団が巨大スポーツイベントの運営実態をつぶさに見て回り、開催準備の課題がより鮮明となった。トップが交代した東京都や関係省庁との連携も不可欠で、より強固な態勢で問題解決に取り組むことを求められる。

▼連日密着

閉会式で五輪旗を受け取った小池百合子知事(Foto: J. P. Engelbrecht/PCRJ)

閉会式で五輪旗を受け取った小池百合子知事(Foto: J. P. Engelbrecht/PCRJ)

 白地に5色の輪が鮮やかな五輪旗が、リオ市のパエス市長から国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長へ、そして東京都の小池百合子知事の手へと渡った。マラカナン競技場で行われた閉会式では最新の映像技術などを駆使した東京のアトラクションに大歓声が上がり、閉会を宣言したバッハ会長は「4年後は東京に集まりましょう」と呼び掛けた。
 17日間の大会は、東京にとって本番前に夏季五輪の運営を体験できる唯一の機会。IOCが用意した視察プログラムは輸送、飲食、医療など約70テーマにわたり、東京は各担当職員が座学や現場視察でノウハウを学んだ。競技運営ではリオ組織委の各競技の担当者に「シャドーイング」と呼ばれる手法で連日密着。会議も傍聴し、備品や日程の管理を手伝うなど実践的な経験を積んだ。
 「やっと、登るべき山の高さが分かった」。リオ大会を視察した東京の組織委幹部は閉幕が近づく中、しみじみとその困難さを語った。東京都、関係省庁、民間企業からの出向者らで構成される組織委の職員の大半は、五輪の現場に触れること自体初めて。机上の計画検討では分からない大会の大きさや仕事の難しさを肌で感じたことが収穫だった。

▼人ごとでない

 リオで起きたさまざまな運営上の問題は、東京にとって人ごとではない。例えば、入場券の販売不振と会場の空席問題は「東京でも簡単にはいかない」と組織委幹部は指摘する。日本戦以外の試合やマイナースポーツ、各競技の予選はどうしても人気が低くなることが予想される。武藤敏郎事務総長は「東京にとっても重要な示唆に富む問題」だとし、入場券販売だけでなく競技自体に関する情報の積極的な発信が必要とみる。
 輸送も同様だ。リオは大会中も慢性的な交通渋滞に見舞われたが、東京も車線数が少ない道路では大会関係車両の増加や五輪専用レーンの導入が一般の交通や物流に影響する可能性がある。組織委の森喜朗会長はリオ到着後すぐに「2車線の首都高速道路の半分をふさげば、今の東京の車の量や経済活動を見たら、何かを止めてしまう」と強い懸念を表明していた。

▼3者

閉幕式で日伯両国旗を手に入場した日本代表選手団(Foto: Fernando Frazão/Agência Brasil)

閉幕式で日伯両国旗を手に入場した日本代表選手団(Foto: Fernando Frazão/Agência Brasil)

 五輪準備を取り巻く態勢はリオ五輪直前に一変した。舛添要一氏の辞職に伴う7月末の都知事選で小池氏が当選し、8月上旬の内閣改造で五輪相に丸川珠代氏、文部科学相に松野博一氏が就任。3人とも慌ただしくリオを視察したが「大会後に使われない施設を残さない」(小池氏)「交通が最大の課題」(丸川氏)とそれぞれ問題意識を深めた。
 当面の課題は、組織委、東京都、国で協議する仮設会場整備の役割分担の見直し作業をまとめ上げること。小池氏は森氏、丸川氏とそれぞれ微妙な距離があるとされるが「森氏がリードしてまとめていく態勢は変わらない」(組織委幹部)との見方が強い。国家的事業の推進でいかに3者が信頼と連携を深め、準備を加速させることができるかが一つの焦点になる。