リオ五輪の閉会式でもその存在が表現され、世界遺産にも指定されているピアウイ州のセーラ・ダ・カピヴァラ国立公園は、維持が困難なほどの危機に陥っていると21日付フォーリャ紙が報じている。
セーラ・ダ・カピヴァラ国立公園は13万平米の広大な敷地を誇り、旧石器時代の壁画が約3万点描かれている。これらの壁画が発見されたのは1970年代で、その貴重さから、1991年には世界遺産にも認定されている。
だが、それほどの存在であるにも関わらず、同公園は現在経営難で、維持そのものがかなり困難な状況なのだという。同園の入場料は25レアルだが、係員が不在で、徴収されない状態が続いている。現在では、四つある入り口のうち二つが閉鎖されており、アウト・ソーシングで雇われている警備員には4月から給料が支払われていない。
この公園の管理はシコ・メンデス研究所の指揮の下で、アメリカ人類博物基金(Fumdham)が連邦政府の援助を得て行っているが、同基金会長で考古学者のニエーデ・ギドン氏(83)によれば、これがうまく機能せず、運営は危機状態にあるという。ときにはニエーデ氏が自腹を切って職員に給料を渡すこともあるが、2年前は100人いた職員も40人まで減った。
こうした危機はこれがはじめてではない。危機の原因は政府側からの援助額が少ないためだ。ニエーデ氏は今年はじめ、維持費として政府に年450万レアルの支払いを求めたが、政府側の支払額は年30万レアルで、シコ・メンデス研究所も裁判所に「現状より多く支払う必然性はない」と申告したという。
現在、この公園内の壁画には、猟師が撃ち込んだ銃弾で傷ついたものがあるなど、維持もままならない状態だ。同公園は21日にリオのマラカナン・スタジアムで開催されたリオ五輪の閉会式でも、ブラジルの名所のひとつとして紹介されている。