【リオ発=小倉祐貴記者】オリンピック・パラリンピックに合わせ開設されたリオ市内の広報施設「トーキョー2020ジャパンハウス」(以下JH)で19日午後、岩手、福島2県と東京都から来訪した芸能団がステージに立ち、伝統文化を披露した。4年後の東京大会をPRするだけでなく、東北2県は東日本大震災における復興支援への感謝の気持ちも込めた。また小池百合子都知事も視察に訪れ、PRの手応えを語った。
東京都などはリオ五輪期間中に、4年後の東京大会をPRすべく複数の文化事業を展開している。その一つが「トーホク&トーキョー・イン・リオ」で、3つの郷土芸能団が来伯し18日にはセントロで、翌日はJHで舞台に上がった。
岩手からは鬼剣舞が舞台に上がった。お囃子の独特な音色が会場に響き、鬼面や甲冑を身につけ刀を手に妖艶に舞った。福島からはじゃんがら念仏踊りのグループが訪れ、復興支援への感謝も込め、太鼓の小気味好いリズムと共に踊った。
東京からは火消し隊による江戸鳶木遣(とびきや)りが、はしごによる曲芸を披露。江戸消防記念会の高柳博一理事(61)は、「観衆の反応が良く気持ちよく演目をやり切れた。ばっちり東京をPRできたと思う」と満足げに語った。
3団体で演者は総勢50人以上。大規模な一団が彩ったステージを見届けようと、県連は日帰りバスツアーを企画した。サンパウロ市から日帰りで、日系3団体代表を始めとする約50人が参加した。
母県の芸能団を出迎えるため、岩手県人会は役員ら5人がリオを訪問。事前に連絡を取り合っていたという千田曠暁会長は、「些細なことだけど直接会うことが大事だと思う」と意義を語った。
この日は閉会式出席のため渡伯していた小池都知事も来館。記者団の囲み取材に、「1日最多で6、7千人の来場があると聞く。東京大会のPRにつながっている」と手応えを語り、江戸鳶木遣りの演目を見届けた。
「『リオの次は東京ですよ』と出来る限り広報に務めたい」と狙いを語り、今後の広報展開について「日本国内では当たり前でも、世界から見れば価値の高いものがある。そんな日本、東京の宝を洗い出し、伝え方にも工夫したい」と思いを語った。2日後の閉会式には着物姿で臨んだ。
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リオのジャパンハウスを訪れた県連バスツアーの一行。事前に来館を伝えていたため、最初は招待客として応じられた。しかし特設舞台前の観覧席で座って開演を待っている時に、なぜか立ち退くように注意を促す係員が現れた。事情を知らない者が、手違いで一行に立ち見を命じたよう。結局最後まで席についてゆっくり見ることができなかった。最後は、平謝りする運営側だったが、柔軟に対応しない悪い意味での〃日本らしさ〃が出てしまったような…。