「本当にありがたい」―聖南西文化体育連盟(UCES、山村敏明会長)からの熊本地震義援金8100レアルの小切手を受け取った熊本県人会の田呂丸哲次会長は、そう悦び、その場に居合わせた夕食懇親会の参加者約100人は大きな拍手を送った。さらに「あと2カ月ほど募金を続けます。皆さんよろしくお願いします」と頭を下げた。
熊本県人会では毎月第3金曜日に夕食会を開催し、100人以上が参加する。最初はセアザ支部が中心になりレストランで開いていたが、会館が完成した15年前から会場を移し、来年4月で開始20周年。サンパウロ市および近郊在住の同県人会員が一堂に会する伝統の親睦行事だ。
山村会長はこのためにレジストロから車を飛ばして4時間余りかけて夜8時過ぎに到着。「聖南西には25文協があり、みなに呼びかけたらすぐに集まった」という。
聖南西の広報理事・小川彰夫さんも「熊本地震のことは地方の文協も心配している。そのことを伝えたかった」と挨拶した。東日本大震災の際も8万レアルを集め、サンパウロ市文協に持って行ったが、そのことが一般に知られることはなかったため、今回は直接届けにきた。
山村会長は満州引揚者で、終戦直後の子供時代には父の郷里の鹿児島に身を寄せていた。「そこで取れる塩と米と交換してもらうために、熊本県高森町まで親と汽車で行ったことを今思い出した。熊本には個人的にも世話になった」としみじみ。
田呂丸会長は「この義援金募金は最初、県人会の中で集めようと思っていたが、気が付いたらあっという間に輪が広がり、40万レアル余りも集まった。皆さんのおかげ。協力に感謝します。被災地では仮設住宅に住んでいる人が今も何千人もいる。このキャンペーンをあと2カ月は続ける」と宣言した。
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聖南西の山村敏明会長は午後10時過ぎ、「じゃ、そろそろ帰るか」と会場でさりげなく別れの挨拶を始めた。聞けば、レジストロに帰り着くのは「午前1時半か、2時ごろ。帰り道は急ぐことないから気が楽。明日も、明後日も向こうで用事があるから、こっちに泊まれない」とのこと。みな日系行事の関係らしい。このような篤い気持ちを持った人物がいればこそ、地方の日系団体の繋がりは保たれる―そう感心させられる去り際だった。