汎スザノ文化体育農事協会(ACEAS、山本善左門会長)は、スザノ日伯学園(安楽恵子校長)創立10周年を記念して27、28の両日に『第7回文化祭り』『第10回ブック・フェア』を同会会館で盛大に開催した。
スザノ日系団体の衰退を受け、生き残り策として同協会により日伯学園は設立された。午前中に義務教育課程を学び、午後からは日本語や日本文化、コンピュータ、各種スポーツなどを習う日本文化重視の全日制私立校だ。
開校当初、生徒わずか42人だったが、現在では約500人までに成長。非日系人が60%と上回り、地域に密着しながら発展を遂げてきた。地方文協には立派な運動設備を備えているところが多い。だったら、すでにある設備を活かして日本語を残した学校に作り変えて、地域日系社会を活性化させられないか―との試みが花開いた。
27日午後5時から開催された式典で登壇した山本会長は、「文化祭を通じて、日本文化の普及及び継承を図り、ブラジルの多文化社会の形成、そして大いなる明日のために貢献したい」と挨拶した。
安楽校長はこの10年を振り返り、「たくさんの夢が託された種が芽生え成長し、地域に根を張り、寒さにも負けない松に成長した」と喜びを見せた。また「地域社会の教育界に貢献できるまでの学校に育った」と評価する一方、「まだまだ若い学校。今後20、30年と続くようにしていきたい」と意気込んだ。
主要舞台では、同校生徒らによるYosakoiソーランなどの演目で会場を沸かせたほか、同地へ進出している小松製作所などの企業ブース、長崎県人会による原爆写真展、充実したブック・フェアなど日本文化の発信にとどまらず、知識欲を高めるための様々な教育的な催しが行なわれていた。
安楽校長は「義務ではないにも関わらず、半数以上が日本語科目を選択している。非日系人が現在では過半数を超えているのは、地域での日系人に対する信頼が厚い証拠」と説明した。
今後の学校運営について、「日系人は内向的で授業中でも意見を控えることが多い。一方、非日系人は物怖じせず積極的だが、規律を守る面が弱い。そんななか、異文化にもまれ、互いを配慮することや、恥じらいなく積極的に表現することといった両国の良い面を学び、生徒には強い心の持ち主に育って欲しい」との期待を語った。
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10周年を迎えた日伯学園。式典後、スザノ市でリオ五輪の聖火ランナーを務めたACEASで体育理事を務める上野ネルソンさん(53、二世)が登場。その時は多くの日系人の声援を受けて「感無量だった」とか。新しく完成した800平米の第2体育館とゲートボールコート二つの落成を記念して、式典会場から新体育館までトーチを持って来賓者を先導。学校教育を通して日本式スポーツ哲学をさらに浸透させてほしいところか。スザノから、めざせ東京五輪!