リオ五輪の警備を担当していた国家治安部隊の一部が、南大河州の治安回復プログラム「アヴァンテ作戦」に協力するため、28日から同州に移動し始めた。
27日付フォーリャ紙によれば、国家治安部隊の派遣は、26日に持たれたミシェル・テメル大統領代行とジョゼ・イヴォ・サルトリ同州知事との会談で決まった。
同紙によれば派遣隊員数は150人。治安部隊が29日に現地の治安関係者と業務分担について協議後、警備を担当する地区を視察した事や、28日午後から現地に派遣された隊員136人が30日朝から実際の業務に就いた事は29、30日付G1サイトなどが報じた。アヴァンテ作戦は、1月末に導入された治安回復プログラムだ。
南大河州は現在、財政難と治安悪化という二つの課題に直面している。財政破綻の様子は、行政担当の公務員給支払いが7カ月遅れ、軍警や市警の給与も分割払いとなっている事でも窺われる。警官への給与支払いは、最低賃金に満たない時さえあるという。
サルトリ知事による経費削減は警察車両の燃料カットなどにも及んでいるが、その一方、退職警官の数は、13年の768人が15年には1888人に増加。今年は3千人に及ぶ見込みだ。
実働人員減少と給与遅配、警察車両の燃料カットなどは、同州の治安を次第に蝕み、犯罪多発やそれに対する抗議行動が更なる暴力事件を生むという悪循環も発生。今年上半期の強盗殺人は昨年同期の66件から89件へと35%増加。窃盗・強盗事件は20%、車の盗難事件は16%、殺人事件は6%など、軒並み増加している。
ヴァウトゥイル・ジャシニ州保安局長は25日夜、ポルト・アレグレで起きた新たな強盗殺人事件後に辞任。サルトリ知事はその直後、ジョゼ・パウロ・カイロリ副知事を長とする危機管理室設置を発表した。
保安局長辞任の契機となった強盗殺人事件は、学校から出てくる生徒を待つ車を次々に襲った強盗が、車の中で弟を待っていた10代の姉の目の前で、動転してシートベルトを外すのに手間取った母親を射殺したもの。犯人は車は盗まず、仲間3人と共に逃走した。
治安部隊の業務はポルト・アレグレ市の犯罪多発地区での検問や取締りが中心で、学校や商店の周辺、車両通行量の多い地区などでは不審者尋問や身元確認なども行う。
25日の強盗殺人事件後、サルトリ知事の自宅前では、最近犠牲となった市民8人の名前入りの十字架や棺を持ち込んでの抗議行動も行われた。