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テメル=いきなり波乱の幕開け=国民にはブラジル復興約束も=ジウマ救ったレナンに激怒=気になる旧野党勢の動向

8月31日、テレビ演説でのテメル大統領(Beto Barata/PR)

8月31日、テレビ演説でのテメル大統領(Beto Barata/PR)

 ジウマ前大統領(労働者党・PT)の罷免が決まった8月31日、テメル大統領(民主運動党・PMDB)は就任挨拶を行い、ブラジルの再建を誓った。だが、レナン・カリェイロス上院議長(PMDB)らがジウマ氏の政治生命を残すよう裏で動いたことで、様々な対立要素を残す波乱の幕開けにもなった。1日付伯字紙が報じている。

 8月31日夜、全国のテレビで放送されたテメル大統領の演説は、その日の午前中に録画されたものだった。
 テメル氏はそこで、平静な口調で「もう、これで混乱の時は終わった。これからは、国家の利益のために、みんながひとつになるべきだ」と語りかけた。
 さらに大統領は、政府の支出上限案について話すと共に、福祉の再編を行い、年配者を守ると共に若い世代に負担をかけない世の中を作ることを約束。労働法や労使間の自由交渉などで改善を目指したいとした。
 また最後には、かねてから主張している18年の大統領選には出馬しないことを強調、国内の政治対立を収め、平和的かつ経済も良好化した状態で、後継大統領にバトンタッチしたいと語った。
 だが、午後4時に行った就任会見でのテメル大統領は、その間に起こったことへの不満をあらわにした。ひとつは、罷免された後のジウマ氏が、自身の罷免を相変わらず「ゴウピ(クーデター)だ」と称し続けたことだ。これに関してテメル氏は、「ゴウピとは憲法の手続きに従わないこと」とし、今回の罷免手続きはあくまでも合法であったと主張した。
 だが、テメル氏にとってそれ以上に不本意だったのは、罷免投票後に行われた、ジウマ氏の今後の政治活動に関する投票だった。裁判では「8年間は政治活動ができなくなる」という規定適用への反対票が3分の1を超えたことで、ジウマ氏は政治生命を救われた。実はこれは、元来ジウマ氏と親しかったレナン議長がPT側の意向を汲み、PMDBの上院リーダーらに呼びかけて談合を行った結果だった。
 そのことを知らされていなかったテメル氏はその事実に不快感を表し、「許されないことだ。新しい連邦政府が機能しないことを望む者は出て行くべきだ」と強い口調で言い切った。
 事実、このジウマ氏の処遇をめぐり、連邦政府内に早速亀裂が入り始めている。それが顕著なのは、反PTの立場にある旧野党勢力の民主社会党(PSDB)と民主党(DEM)だ。テメル政権強化を後押しした両政党だが、PSDB党首のアエシオ・ネーヴェス上議やDEM上院リーダーのロベルト・カイアード上議は、ジウマ氏の政治生命継続という結果を不服として上告する意向とされ、最悪の場合、連立解消の危険性もある。