連邦最高裁のテオリ・ザヴァスキ判事が6日、ルーラ元大統領が8月に出した、ラヴァ・ジャット作戦(LJ)に関連する同氏の裁判をパラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事でなく最高裁で行うように求めた訴訟を、「捜査妨害だ」として取り下げたことが8日に明らかになった。9日付伯字紙が報じている。
これはルーラ氏が8月29日に出した訴状に対する返答だ。同氏の弁護人は「本来最高裁が取り扱うべき案件をモロ判事が奪おうと企んでいる」とし、最高裁で裁判を行うことを望んだ。
ルーラ氏はかねてから厳しい裁きを行うモロ氏に強い抵抗感を抱いており、今年に入ってからは、サンパウロ州グアルジャーの三層住宅を介した贈収賄疑惑がLJの管轄に含まれることを恐れはじめていた。同住宅の件はサンパウロ州検察局がサンパウロ州地裁に起訴や逮捕請求を出していたが、サンパウロ州地裁側がこの問題はLJの一環として、3月にパラナ州連邦地裁に判断を移した。
サンパウロ州地裁が判断を移すのと前後する3月15日に当時のジウマ大統領がルーラ氏の官房長官就任を発表したが、同日夕刻にモロ判事が連邦警察が盗聴したルーラ氏とジウマ氏の会話の公開を認めたため、官房長官就任は「逮捕逃れが目的だ」と判断され、国中が大騒ぎとなった。
この後、テオリ判事がモロ判事による録音公開を問題視し、連警の行ったルーラ氏絡みの盗聴記録などを最高裁に渡すよう同判事に命じた。ルーラ氏の官房長官就任は3月17日に最高裁に差し止められ、ルーラ氏は一般人のままだったが、ジウマ氏の会話が含まれていたこともあり、裁判の管轄は要職政治家と同様に最高裁となった。
だが、ジウマ政権崩壊後の6月13日、テオリ氏は3月15日の録音を無効としながらも、ルーラ氏に関する裁判案件をモロ判事に差し戻した。パラナ地裁にはルーラ氏に関し、三層住宅の件などで収賄、資金洗浄、名義人詐称の罪を問う訴状が3件提出されている。
ルーラ氏の弁護側は今回、テオリ判事が過去にモロ判事が録音の公開を許したことを違法と判断した事実などを指摘し、ルーラ氏の裁判管轄は依然として最高裁にあるべきだとした。
だが、テオリ判事は、この訴えはルーラ氏側がLJの捜査を妨害しているだけに過ぎないとし、請求を却下した。同判事は、ルーラ氏の弁護側が「連邦検察庁が最高裁に提出した訴状の中には、ルーラ氏がペトロブラス内での汚職計画に深く関わっているという見解が含まれており、最高裁が扱う訴状に関連する内容の裁判をモロ判事が担当するのは越権行為だ」と主張したことについて、「確かに最高裁はパラナ州連邦地裁が扱う裁判と関連した件を扱っているが、モロ判事に越権行為の事実はない」し「最高裁は同件にまつわる諸事実を充分認識している」と言及した。
今回のテオリ判事の判断により、ルーラ氏がモロ判事から逃れるのはますます難しくなった。
タグ:ペトロブラス 汚職 ルーラ 写真ニュース ジウマ大統領 ラヴァ・ジャット セルジオ・モロ