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フラメンゴが久々の上位争い=下部組織の監督就任で覚醒

7月に行われたボタフォゴ戦で(Gilvan de Souza/Flamengo)

7月に行われたボタフォゴ戦で(Gilvan de Souza/Flamengo)

 「ブラジルで最も人気のあるチーム」といわれながらも、近年は低迷していたフラメンゴが、今シーズンの全国選手権では絶好調。9月11日の時点で、首位パルメイラスに勝ち点差1で迫っている。
 フラメンゴといえば、古くからリオでは最も人気のあるチームで、ジーコが活躍していた80年代に黄金時代を築き、その後もロマーリオなど名選手が在籍したチームとして名高い。
 世論調査では、今でも一応「ブラジルで最も人気のあるチーム」となっているが、少なくともこの5年ほどは優勝争いには程遠く、セレソン級の選手や若手有望選手の欧州移籍などのニュースもなく、たまに大型補強で名前を聞く程度だった。成績も、同じくリオを本拠地とするライバルのヴァスコ・ダ・ガマやボタフォゴのように2部に降格する不名誉こそないものの、降格逃れがやっとの存在だった。
 そのフラメンゴが、今年の全国選手権は後半戦になっても首位に肉薄する健闘振りで、このところの上位常連のコリンチャンスやアトレチコ・ミネイロとも互角の試合を展開。現在は、同じく久々に好調のパルメイラスと、優勝争いをする位置まで来ている。
 フラメンゴがここまで代わった立役者としてあげられているのが、監督のゼー・リカルドの存在だ。しかも同監督は、今年の5月下旬まで、1部のトップリーグの監督をしたことがなかった人物だ。
 フラメンゴは今年、2006~08年にサンパウロFCで全国選手権3連覇を果たしたことで知られるムリシー・ラマーリョ氏を迎えて再建を図っていた。だが、同氏は健康上の問題を理由に5月下旬、全国選手権がはじまってわずか2試合で降板した。そこで白羽の矢が立ったのが、フラメンゴのジュニア・ユース監督だったぜー・リカルドだった。
 これはゼーの下部組織での実績を評価されての昇格人事だったが、5月26日から彼が采配を振るいはじめてからのチームは絶好調で、それ以降今日まで13勝5敗4分だ。チームで注目されるのはペルー代表フォワードのパウロ・ゲレーロくらいだったが、今や、ボランチのウイリアン・アランはセレソン入りが近い選手と目されるようになり、19歳のストライカー、フェリペ・ヴィゼウの成長なども見られ、楽しみなチームになってきている。
 この変化についてアランは、「たしかにゼーが監督になってからは、試合でのボールの運び方やポジショニングなど、あらゆることが変わった。勝ちにつながるサッカーをやりはじめている」と認めている。
 ゼーは下部組織にいた若い頃に早く引退したため、選手経験もほとんどないが、下部組織で監督能力を鍛え上げてあがってきたため、その能力が発揮されている形だ。
 このゼーに関しては、前任者のムリシーも才能を認め、またタイミングのよさを認めている。「私がサンパウロの監督をはじめた頃はちょうど(伝説の名将と名高い)テレ・サンターナが休養する頃だったけど、私を後押ししてくれる編成ディレクターがいた。ゼーにも今回、それに当たる人がいて、才能がつぶれずにすんだ」と語っている。
 この、数カ月前まで全くの無名だった監督に、名門フラメンゴの復活が託されている。(5月30日付ランセなどより)