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大差でクーニャ下議を罷免=過半数どころか450対10=所属政党や会派も見放す=ジウマ弾劾の12日後に

罷免後、取材を受けるクーニャ氏(Luis Macedo/Câmara dos Deputados)

罷免後、取材を受けるクーニャ氏(Luis Macedo/Câmara dos Deputados)

 12日、下院で前下院議長のエドゥアルド・クーニャ氏(民主運動党・PMDB)の議員罷免の投票が行われ、450対10の大差で罷免が決まったと13日付伯字紙が報じた。自身が審議を進めさせたジウマ大統領の罷免から12日後のことだった。

 罷免投票は12日の23時を過ぎて行われ、電光掲示板で結果が明らかになったのは23時50分だった。罷免には、下院の過半数である257票が必要だったが、200票近く上回る圧倒的大差で罷免が決まった。
 クーニャ氏は2014年頃から反ジウマ派の中心議員として注目されており、15年2月の下院議長選ではその影響力を活かし、政府側候補を破って当選した。
 だがその後、ラヴァ・ジャット作戦(LJ)の捜査で、ペトロブラスで展開された贈収賄計画に関与したロビイストらから、クーニャ氏が賄賂を受けていたことが次から次へと暴露された。決定的だったのはスイスに隠し持っていた秘密口座が本人の顔写真と署名入りで暴露されたことで、議会での偽証罪などで議員罷免を問われた。
 クーニャ氏は、自身が下院内で築いた会派「セントロン」での影響力を駆使し、議員罷免をなんとか阻止しようとしていたが、昨年11月の倫理委員会で労働者党(PT)議員が罷免審議を進めることに投票したことに立腹し、報復的にジウマ氏の大統領罷免の手続きを開始した。
 大統領罷免の件は、今年3月に起きた、逮捕逃れとみられるルーラ元大統領の官房長官就任を機に反ジウマ機運が盛り上がったことで前進し、4月17日には下院でのジウマ大統領罷免手続き継続承認につながった。
 だが、クーニャ氏はこの当時から、ジウマ氏罷免の推進力として利用されているに過ぎないとの見方が強く、5月初旬に最高裁の判事投票では満場一致で議長免職が決まった。
 クーニャ氏はその後、7月に下院議長を辞任。セントロン勢力に頼ってなんとか議員罷免を避けるべく抵抗を試みたが、倫理委員会で罷免を推薦する報告書が承認されたのに加え、7月の後任議長選で反クーニャ派のロドリゴ・マイア氏がセントロン候補のロジェリオ・ロッソ氏を破ったことが致命傷となった。
 テメル大統領や下院最大勢力を誇るPMDBは、クーニャ氏を助けることでイメージに傷がつくことを恐れ、同氏救済を放棄した。クーニャ氏は罷免決定後、テメル政権がマイア氏の議長擁立に加勢したと批難した。
 またセントロンも解消状態で、一部がジウマ大統領の弾劾裁判のとき同様に、2回に分けての投票を求めたが、あえなく却下された。
 罷免後のクーニャ氏は一般人扱いとなるため、最高裁が扱っていたLJ関連の容疑5件(内2件では既に被告となっている)の裁判はパラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事の管轄となる。