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自伝『道のない道』開始=「衝撃的で赤裸々な思い出」

村上尚子さん

村上尚子さん

 「私は高校2年で中退。ブラジルへ来ても仕事ばかりで、生涯に20数冊しか本を読んでいません。本当に私でも文章を書けるだろうかと思いましたが、なぜか惹かれて、たちばな会に。最初はひどい文章でしたが、皆さんに優しく教えてもらい、なんとかここまできました」。村上尚子さん(しょうこ、78、福岡県)は今年初めに入会、8月末にはもう自伝小説『道のない道』を刊行した。
 村上さんは「出だしを宮尾進さん(人文研元所長)に読んでもらったら『これは良いね。これを拡げたらいい』との助言をくれました。それならと書き進めた。おかげで自分の人生が整理できた気がします」と振りかえる。
 たちばな会の代表、広川和子さんは、同じ女性として「とてもユニークで、勇気がある本。衝撃的な思い出が赤裸々に書いてある。有名な人など全然出てこないが、とても力のある作品」と「むき出しの移民体験」が書かれていると高く評価した。同会のメンバー、平間浩二さんも「感動するぐらい文章が良い」と薦める。
 村上さんは同書の「あとがき」で、移民体験を積んで「耐えて強くなった反面、“副作用”もでたと言う。《現在、日本へ帰っても、日本人にはなり切れず、といってブラジル人にもなれない。その哀しいしこりが体の奥に沈んでいます》と書く。
 この本は日毎叢書企画出版(11・3341・2113、メールnitimai@nethall.com.br)で好評、発売中。