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昨年の雇用喪失150万=1992年以来、初の減少=解雇の対象は若い労働者?

ニューヨークのブルームバーグ社を訪問中のテメル大統領(中央、Beto Barata/PR)

ニューヨークのブルームバーグ社を訪問中のテメル大統領(中央、Beto Barata/PR)

 労働雇用省が16日、雇用主からの情報を基に作成された社会情報の年次報告(Rais)によると、2015年末現在の正規雇用者は前年末比で150万人減少したと発表したと17日付伯字紙が報じた。
 正規雇用者の数が減少したのは、1992年以降、初めてだ。しかも、150万人の減少は、1985年に統計を始めて以来、最悪だ。過去の雇用喪失は、コーロル政権下で貯蓄預金凍結やハイパーインフレに苦しんだ1990年(130万人)と91年(18万8千人)、92年(73万8千人)の3回しか起きておらず、今回の景気後退(リセッション)がいかに深刻で長期化しているかが垣間見られる。
 雇用喪失の内訳は、民間部門が136万4千人で、公務員や公共サービス部門が13万5700人となっている。
 また、州別に見ると、ピアウイとアクレ、ロライマは各々、0・67%と2・14%、2・38%の雇用増を見たが、これら3州での雇用増は8千人分に過ぎない。また、南東伯では90万300人、北東伯では23万3600人、南伯では21万7200人の雇用喪失が起きた。
 職種別に見ると、農業関連の部門だけは1・41%雇用が増えたが、それ以外の部門では軒並み減少した。雇用喪失が目立ったのは、建設業の14%や製造加工業の7・4%、商業の2%だ。
 年齢別に見ると、雇用喪失者150万人の内、110万人は18~24歳の若者だった。この年齢層では14年も、24万5400人分の雇用が減っている。その一方、高度な技術や知識、経験を持つ高齢者の雇用は増えた。
 裏返して言えば、技術や知識、経験に欠け、生産性が低い若者は、解雇時に必要な経費も少なくてすむため、容易に解雇される事にもなる。
 逆に、技術や知識、経験に富む熟練工らは、解雇に伴う経費が高い分、首を切りにくい。また、その技量や生産性は危機の時ほど高く評価され、起死回生の鍵とされる可能性も強くなる。
 景気回復への明確な兆しが見えない中、自動車業界などでは集団休暇や希望退職者募集といった動きが続き、先行き不透明感も拭えないブラジル。国連総会にあわせて訪米したテメル大統領は、先日発表したインフラ関係の運営権委譲計画などを手土産に、外国人投資家からの投資を呼び込むと共に、雇用創出もと考えているが、エンリケ・メイレイレス財相は、歳入が歳出を上回るようになるのは2019年との見解も明らかにしている。