ブラジルの歴史上最大の政治スキャンダル、ラヴァ・ジャット作戦を管轄する凄腕判事として、いまやブラジル国内だけでなく世界的に有名となったパラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事が、「世界で最も影響力のある10人」の第10位に選ばれた。
モロ判事は今年4月に、アメリカのタイム誌からも、同じ企画で選ばれていたが、そのときは「100人」(ランク付なし)だったが、今回は「50人中の10位」とさらに注目度の高いものとなっている。
選んだのは、世界の経済市場に強い影響力を持つ、アメリカの金融情報サービス社のブルームバーグだ。タイム誌の場合なら、「大物政治家でもひるむことなく、厳しく処罰する」という、法にたずさわる人としての見本として評価されるのは理解できるが、今回は遂にその評価が経済メディアにまで及んでいることを示した格好だ。
これはつまり、ブラジル最大の公社、ペトロブラスでの大物政治家が続々と絡んだラヴァ・ジャット作戦の存在が、ブラジル経済の浮沈のみならず、世界の経済指標にも少なからず影響を与えるものとなり、そのカギを握る人物がモロ氏、ということになるのだろうか。
モロ判事は今月20日、高級住宅を媒介として建築業者と贈収賄工作を行なったとして起訴されたルーラ元大統領に対し裁判の被告とする判断を下し、注目を浴びたばかりだ。
モロ判事の裁判管轄は企業家などの一般人で、政治家は扱わないことになっているのだが、要職についていない政治家なら扱えることになっている。今後はこのルーラ元大統領や、ラヴァ・ジャットへの関与を理由に今月12日に議員罷免処分にあい、起訴されること確実なエドゥアルド・クーニャ前下院議長を裁くことになるだろう。そうなれば、ますます注目度は上がるはずだ。
現在44歳のモロ判事は、まだ最高裁どころか、ブラジルで5~6番目に規模の大きな州の地方判事に過ぎない。だが、既に知名度はブラジル国内でも抜群で、「次の大統領になってほしい」と願う声まで出てきているほどだ。
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