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住宅福祉政策の新規募集再開=新価格帯で4万世帯対象=地方統一選直前にアピール

 連邦政府は29日、低所得者向け住宅福祉政策「ミーニャ・ヴィーダ、ミーニャ・カーザ」(MVMC)の募集を再開するとを発表した。ミシェル・テメル大統領(民主運動党・PMDB)になってからはじめての募集で、地方統一選の一次投票直前のタイミングでの発表となった。29日付ブラジル紙が報じている。
 今回発表された同住宅政策は「ファイシャ1・5(1・5所得帯)」と呼ばれるもの。元々はジウマ前大統領が14年の大統領選の際に公約として掲げていたが、実行できずにいた。
 この「ファイシャ1・5」とは、月の所得が「ファイシャ1」(~1800レアル)と「ファイシャ2」(~3600レアル)の中間に位置する層の、低所得側を対象としたもの。最高で2350レアルまでの所得層の人が有資格者となる。
 分譲される家はサンパウロ市やリオ、ブラジリアといった都市部で最高13万5千レアル。その価格の3分の1までを国の助成金でまかなうことが出来る。その部分を受け持つのは、勤続期間保障基金(FGTS)がうち9割、国庫(テゾウロ)が1割となる。
 また、残りの3分の2も、連邦貯蓄銀行(CAIXA)との融資による長期ローンで5%の超低利子という優遇条件になる。
 今回の募集では4万世帯を対象に、2016年中にも契約を行いたいとしている。
 政府側はこの政策の目的を、「建築業界を活性化で雇用創出を増大させ、経済の活性化につなげるため」としている。
 さらに、景気後退の最悪期の今、最も苦しんでいる低所得であるCクラス、Dクラスが喜ぶような話題を提供したかった面もあるようだ。
 この発表が地方統一選挙の直前に行なわれた背景には、ジウマ前大統領の労働者党(PT)を支持する貧困層対策もあるようだ。この層にとってテメル氏は、ジウマ氏を追い落としたとの悪印象が強く、現在も彼への抗議行動を根強く繰り返しているからだ。
 この住宅政策をはじめ、「PTの政策」との印象が強い一連の福祉政策を新政権がどうするかは、最も注視されるポイントでもあった。