2日の全国統一市長選の結果、民主社会党(PSDB)の躍進が目立ったことで、党内では、党の次期党首、18年の大統領候補を選ぶ予定を早めようとする機運が盛り上がっている。一方、労働者党(PT)は国内での支持率が大きく低下し、左翼勢力内での威厳も落としつつある。4日付伯字紙が報じている。
今回選挙でのPSDBは、当選市長数こそ民主運動党(PMDB)に次ぐ2位だったが、「統治する選挙民数」は現時点で3800万人となり、前回選挙より45%増えた。この数は前回選挙より20%少ない2500万人を統治するPMDBをはるかに凌ぐ。PSDBは州都の決選投票にも8人残っているため、統治する選挙民数は増える可能性を残している。
この勝利にPSDBは沸いている。とりわけ、新人のジョアン・ドリア氏にサンパウロ市市長選では前代未聞の一次投票での圧勝をもたらしたジェラウド・アウキミンサンパウロ州知事の陣営では、同知事を次期大統領選候補にとの機運が高まっている。ドリア氏圧勝で同知事がアエシオ・ネーヴェス同党党首やジョゼ・セーラ外相との18年大統領候補レースで一歩リードと判断した側近らは、来年5月に行われる同党の党首選挙と大統領候補の予備選を早めようと動き出しているという。
アエシオ党首はこうした動きに対し、「予備選は良い方法だが、今の段階で慌てて18年のことを決めるのは良くない。民主的な議論をしっかりやるべきだ」と答えた。同氏の拠点のミナス州都ベロ・オリゾンテでは、ジョアン・レイテ氏が決選投票を控えている。
セーラ氏の場合は、サンパウロ市市長選の党内候補を選ぶ際に対抗馬だったアンドレア・マタラゾ氏を推したため、ドリア氏の圧勝やアウキミン氏の台頭、ミナス州での好結果といった材料が揃った中での予備選の前倒し実施は決して思わしくない。
同党内では、新執行部や規定さえ定まらない中での予備選実施に難色を示す声も出ている。
一方、PSDBの躍進は、かねてから同党の連立離脱を恐れているミシェル・テメル大統領やPMDBにも緊張感を与えている。PMDBの市長数は前回より微増したが、テメル氏は白票や無効票、棄権票が多かったことは国民の政治不信の表れと気をもんだ。
他方、PTの落ち込みは深刻だ。市長数で10番目の政党に陥落したことは昨日付本頁でも報じたが、現時点での「統治する選挙民数」は600万人に過ぎず、3800万人だった12年より84%ダウンした。
今回の選挙ではPT以外の左翼政党も支持率を落としたが、これはジウマ前大統領の罷免は「ゴウピ(クーデター)」と叫んでの選挙運動が大多数の国民には不評だった証拠だ。そんな中、社会自由党(PSOL)のようにリオ市とパラー州ベレンなどで決選投票に進んだ党もあり、左翼間の支持が分裂している様子もうかがえる。
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