サンパウロ市のA・C・カマルゴ病院癌センターの調査によると、乳癌患者の5人に2人は50歳未満で発症しており、50歳を超えたら検診を受けるようにとの保健省の方針を見直す必要がある事が判明したと3日付現地紙が報じた。
2000~10年に同センターで乳癌と診断された患者4527人中、11・4%は30代で発症、40代で乳癌が発見された患者も28・7%いた。保健省の方針に従っていれば、癌発見は遅れ、生死に関わる事態になっていた。
同センターのファビアナ・バロニ・マクディッシ医師は、「ここは癌治療で知られ、早期発見例も多いから、ここで得たデータが全国の実情を反映しているとは言えない」としつつ、「早期発見すれば治癒率や生存率も高い。乳癌検診を早く始めるよう体制を整えるべき」との見解を表明した。
同センターによると、第1段階の早期発見者の5年後の生存率は96・1%と高いが、第2段階だと89・2%、第3段階だと71・6%と段々低下。第4段階の進行癌患者の生存率はわずか30・3%だった。
37歳で乳癌と診断されたパトリシア・モレイラさんは、献血後に白血球数が変化していると言われ、チェックアップを行った際、「まだその年じゃない」という医師に無理を言ってマンモグラフィーを受けた事で、第2段階の乳癌(約4センチ)が見つかった。
パトリシアさんは左の乳房を切除し、化学療法と放射線療法も受けた。40歳の今、「50歳まで待っていたら全身に転移していたはず」と言うパトリシアさんは、12月か1月に乳房の再建手術を受ける予定だ。
保健省は、「50歳以降で乳癌検診というのは世界保健機関の基準」と言いつつも、50歳未満で乳癌を発症した家族や親族がいる女性に対しては、「35歳を超えた時点で医師の診察を受け、検診を受けるよう医師に指導させる」との意向を示した。
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