【既報関連】ブラジル連邦議会下院特別委員会で6日に承認された、公費歳出上限を定める憲法改正法案(PEC)は、週明け10日、下院本会議で討議にかけられたと同日付現地紙電子版が報じた。
PECが特別委員会で承認された翌7日、ブラジル連邦検察庁(PGR)は、「PECは違憲だ。PECは司法権を弱体化させ、政界汚職事件捜査への悪影響も懸念される」として、PECは三権分立に反しているとの見解を示した。
PGRの見解にテメル大統領(民主運動党・PMDB)は、「PECは三権に対して同様に制限を課すもので、行政権の独走ではない」と、その日の内に反論した。
テメル大統領は、下議達の動揺を最低限に抑えるべく、9日に大統領公邸に連立与党の下院議員215人を招いての夕食会を催した。
下議だけでなく、上下両院議長や、閣僚も顔を揃えた夕食会の中で同大統領は、「PEC成立を妨げる、いかなる動き、いかなる機関にも屈してはならない。私は任期の最終日に胸を張って『ブラジルを救った』と言いたい」と激を飛ばした。
審判の下る10日、テメル大統領は、ブルーノ・アラウージョ都市相と、フェルナンド・コエーリョ・フィーリョ鉱山動力相を解任し、両氏を一時的に下議の立場に戻した。両氏は採決時に賛成票を投じた後に閣僚に復帰するという荒技だ。
PEC可決のためには下院総数の6割を超える、308票以上の賛成が必要だが、本会議前に、ロドリゴ・マイア下議長(民主党・DEM)は「360~380票は行くのではないか」との自信を見せた。
10日の午前から熱のこもった討議が行われ、「(PECの有効期限である)向こう20年なんて大統領は最低3人も出る。3人の大統領の予算執行権をここで縛って良いはずがない」などと野党議員が激しく口角泡を飛ばすシーンも見られた。(尚、本稿締め切りの10日午後5時時点での採決結果は不明)