連邦検察庁は10日、ルーラ元大統領に対し、三つ目となる告発を行なった。今回は、元大統領としての影響力を使って不正な利益を収得した容疑。具体的には、自身の影響力を行使して社会経済開発銀行(BNDES)からのオデブレヒト社への融資を働きかけたなどの疑惑だ。11日付伯字紙が報じている。
今回の告発は、連邦直轄区の連邦裁判所に対するもの。告発をされたのはルーラ氏、オデブレヒト元社長のマルセロ・オデブレヒト氏、ルーラ氏の甥のタイグアラ・ロドリゲス氏ほか8人。
検察庁によると、アフリカのアンゴラでのオデブレヒト社の事業が実現するように、ルーラ氏は同開発銀行に影響力を行使して10億レアル相当の融資を引き出した。アンゴラ政府との契約締結を実現させた見返りとして、ルーラ氏は同社に3千万レアルの見返りを要求したとの疑惑がもたれている。
この3千万レアルのうち1千万レアルは、オデブレヒト社がルーラ氏に依頼した講演料という形で、ルーラ氏が作った講演手配会社「LILSパレストラス」に支払われたと当局は見ている。
さらにアンゴラの契約の見返りとして、オデブレヒト社は同地での17に及ぶ事業に関し、ルーラ氏の求めでタイグアラ氏の企業「エシェルジア・ブラジル」と契約を結ばされたという。タイグアラ氏は、ルーラ氏の前妻の兄弟の息子だ。支払の残りの2千万レアルもタイグアラ氏に渡されたと見られている。
その使途にはルーラ氏の兄フレイ・シコ氏の健康保険料1万レアルの月々の支払い、燃料費の1千万レアルなども含まれているという。
ルーラ氏はこれらを、大統領在任中の2008年から行なっていたとされる。検察庁は連邦裁判所に対し、ルーラ氏とタイグアラ氏とアンゴラの企業とのメールのやりとりや、一緒に写った写真、2010年に同開発銀行上層部と会議を行なった証拠品などを既に提出している。
ルーラ氏はこれまでも、サンパウロ州グアルジャーの豪邸を介した贈収賄疑惑などで2度告発されているが、罪状に「影響力を行使した犯罪」をあげられたのは今回が初めてだ。
オデブレヒト社と同開発銀行に関してはキューバ、エクアドル、ベネズエラ、ドミニカ、パナマの事業でも同様の疑いがもたれている。