ジウマ大統領罷免や統一地方選での大敗など、結党以来最大の危機を迎えている労働者党(PT)が分裂の危機にあると、17、18日付伯字紙が報じている。
8月にジウマ大統領が罷免された後、PTは10月の統一地方選で市長の半数以上を失い、市長数で10位の政党に転落した。ラヴァ・ジャット作戦(LJ)では、アントニオ・パロッシ元官房長官をはじめとする党の大物政治家や党の中央会計たちが逮捕された上、18日には再び「ルーラ元大統領が逮捕される」との噂が流れ、支持者らがサンパウロ州サンベルナルド・ド・カンポの同氏の自宅周辺で防御体制を敷くなど、緊張も走った。
こうした危機を迎え、PT内部では、党内改革を求め、最悪の場合、分裂も辞さないとする勢力が台頭してきている。
その代表的な勢力は、少数派の会派に属する連邦下院議員を中心とした40人ほどの「ムーダPT(PTに変革を)」と呼ばれるグループだ。彼らは先日の統一地方選の惨敗を「PTという名が仇になって投票してもらえなかったのではないか」と危惧し、党に変革を求めている。
同グループは17日も会合を持ち、次の執行部を選ぶ党大会実施を早めるよう、ルーラ氏の所属する党内最大会派「新しいブラジルを作る会(CNB)」に求めている。
PT現執行部の任期は17年11月までだが、結党以来最大の危機を乗り切るため、次の執行部選挙を4月か5月に前倒しする方向で物事が進んでいるという。「ムーダPT」は17日、党の今後や選挙の件を具体的に話し合うため、12月3~4日に次の会合を開くことを決めた。
ルーラ氏は選挙の前倒しに賛同しているが、党内会派の争いをやめるよう求めた。ルーラ氏はここ数日、CNBや党内左派のリーダーと会い、話し合いのときを持った。PT幹部は、LJでルーラ氏が逮捕され、18年の大統領選に出馬できなくなることや、同氏逮捕で党のイメージが更に悪化することを懸念している。18年にPTが政権に返り咲くのを嫌い、テメル政権が連邦警察に指示を出したと噂しあっているともいう。
「ムーダPT」をはじめとする党の現状に不満の勢力は、党大会が早まらない場合は離党も辞さないとの見解も示している。ただ、新党結党に関しては、最高裁が新党への政党基金の分配やテレビでの政見放送に関する規定を厳しくしたため、今から結党しても次の大統領選、州知事選、連邦議員選には間に合わないとして消極的だ。
その場合、不満分子らは、民主労働党(PDT)やブラジル共産党(PCdoB)、持続ネットワーク(Rede)、社会自由党(PSOL)などの他の左翼政党と吸収合併する形での新党結党や、前線形成をもくろんでいるという。
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