【既報関連】15年11月にミナス州マリアナ市で起きた、ブラジル史上最大の環境汚染事故、サマルコ社鉱滓ダム決壊事故からあと10日で1年を迎える。ドッセ川に流出した鉱滓は川下全体を汚染し、大西洋に達した。河口の街、エスピリト・サント州レジェンシア市の窮状を25日現地サイトが報じた。
事故以前のレジェンシア市は海水浴を楽しむ観光客が多く訪れる町だった。海の色はほぼ事故の前に戻ったが、それだけでは旅行客やサーフィン客を呼び戻すのに充分ではない。同市の観光業は未だに、水質の不安定さと、事故当時、ブラジル全土に流れた悲惨な映像のインパクトによる二次災害に苦しんでいる。
昨年11月5日の事故発生時、セルジオ・ミサジアさんの営む宿泊施設(全31室)は、夏季シーズンも年末年始も予約で埋まっていた。
しかし、事故から15日後、上流から鉱滓が流れ込み始めると、キャンセルの知らせもどっと流れ込んだ。セルジオさんは、これまでの11カ月の損失を35万レアルと見積もっている。この夏も予約は入っておらず、廃業を考えている。
「あの事故が起きる前の商売は順調だった。上手く行きかけていた時、全てダメになった。補償は受けられるのかとか、水質はどうなのかといった必要な事は今も何も知らされないままだ。我々の事は忘れられたように感じる」と語る。
宿には多くの観光客から、川や海岸の水質を問い合わせる電話が来ているが、水質調査の結果が伝えられていないために答えられないでいる。
エスピリト・サント州水資源環境研究所によると、ドッセ川の水質は、国家環境評議会(CONAMA)が定めた「様々な用途に耐えうる水」の基準内だが、飲用にするには特別な処置が必要だという。