ブラジルの最高裁が今日4日に予定している「大統領代行者の資格」をめぐる裁判が、レナン・カリェイロス上院議長(民主運動党・PMDB)の職責を危うくする可能性があるため、ミシェル・テメル大統領(PMDB)の側近が判決を遅らせようとして動いていると、3日付エスタード紙が報じている。
この裁判は、10、14年の大統領選に出馬したマリーナ・シウヴァ氏が設立した政党の持続ネットワーク(Rede)が起こしたものだ。訴状によると「裁判の被告になっている人物は、大統領が国内不在の時などに業務を代行する資格を有する職責から外れるべき」としている。
現行法によると、テメル大統領の場合は副大統領が不在のため、大統領代行順位は、ロドリゴ・マイア下院議長が第一位で、その次がレナン議長となる。
だが、レナン議長は既に、ラヴァ・ジャット作戦において、偽造の身分証明書と書類を使用し、メンデス・ジュニオール(MJ)社から賄賂を受け取った疑いで連邦検察庁から告発を受けており、最高裁の全体審議で認められれば被告となる。また、同件を含め、全11の容疑で連邦警察の捜査対象となっている。MJ社の件に関する最高裁の判断がいつ出るかは未定だ。
Redeの訴えに対する最高裁の判断は今日にも出されることになっているが、エスタード紙の調べによると、テメル大統領の側近2人が、この判断を先延ばしできないか、最高裁判事との相談に動いているという。
テメル大統領がこのような動きに出ている最大の原因は、連邦政府が是が非でも通したがっている、向こう20年間の財政支出の調整幅に上限をもうける憲法改正案(PEC)241の上院での審議が目前に迫っているためだ。上院での同法案の全体投票は11月29日に予定されている。
また、上院議長の任期は17年1月で切れるため、裁判はその日までレナン氏に議長を務めさせてからでも良いのではとの思惑もある。
一方、選挙高等裁判所長官を兼任するジウマール・メンデス判事が、米国大統領選との関係で国外におり、4日の審議に参加できないなど、公務でブラジリアにいない可能性のある判事がいるなどの理由で、審理が成立しない可能性もある。最高裁での全体審理は、11人中最低8人の出席が必要だ。ただ、アウレーリオ・メロ判事は「本件での審理延期は望ましいとはいえない」と延期に難色を示している。
レナン議長と最高裁の間では、10月21日に上院警察官が連邦警察のメーチス作戦で逮捕された際、判断を下したのがブラジリア地裁だったことでレナン議長が「地裁判事ごとき」と発言し、カルメン・ルシア長官の怒りを買う対立もあったばかりだが、本件の審理日程はそれ以前に決められていた。