ブラジル史上最大級の環境破壊事故となった、ミナス州マリアナ市の鉱山採掘会社サマルコ社の鉱滓ダム決壊事故発生から丸1年経った5日、地元紙、地元サイトが、ブラジル連邦検察庁の調査で、国内の鉱滓ダム397中、半数以上はサマルコ社ダム同様かそれ以上の被害を引き起こす可能性がある事が分かったと報じた。
検察庁の調査は、鉱山動力省管轄の鉱産局(DNPM)からの情報を基に、16州の鉱滓ダム397カ所の現状を分析したもので、甚大な事故が起きる可能性のあるダムの6割はミナス州に集中していた。各ダムは、構造上の危険度が最大のAから最小のEまで5段階に分類されると共に、予想される被害の大きさも注記されている。1年前崩壊したサマルコ社ダムは、事故が起きた場合の被害は甚大とされつつも、事故などが起きる危険度はCと判定されていた。
検察庁によると、DNPMから得た初期情報を分析した結果、監査、調査体制や法が整備されていないせいで、ダムの強度点検過程に多くの不備がある事が判明した。これらの不備は、ダム点検に必要な資金の保証や環境法の整備、鉱滓量削減などを妨げている。
ジョゼ・サルネイ・フィーリョ環境相は「構造上、この1年危険な現状を改善するための施策は何も行われておらず、新たな事故が起こる可能性はある」事を認めた。同相はまた、政府や議会は1年前のサマルコダムの事故を教訓とし、法整備や強度点検への人的、経済的資源投入などの効果的な予防策を急ぐべきとの見解を示した。
ダーラン・ジアス検察官は、今回の調査は情報分析がベースだが、防災計画がないダムや防災計画に誤りがあるダムがある事が判明し、DMPNが防災計画や非常時の対応策をチェックしてない例も見つかったと指摘した。検察庁は、DNPMにも業務上のミスを是正するよう勧告している。