ペトロブラス(PB)が10日、株価下落などの影響で、第3四半期の収支は164億5800万レアルの赤字で終わったと発表したと10、11日付現地紙・サイトが報じた。
第2四半期が3・7億レアルの黒字となり、胸をなでおろしていた市場関係者は、最大22億レアルの黒字と予想していた事もあり、昨年同期の赤字額(37・6億レアル)の4倍強となる164億レアルの赤字という報告を大きな驚きをもって迎えた。
第3四半期の数字は、国際的な原油価格値下がりや為替変動、ブラジルの信用格付引き下げその他の影響による株価下落分の見直し、アルゼンチンの子会社売却、希望退職者募集に伴う経費増などの要因を反映している。
特に大きかったのは株価の下落で、15年12月時点との差額清算による損失は157億900万レアルに上った。PBは、差額精算がなければ黒字決算になっていた可能性もあるとした上で、「当面は株価変動によって大幅な損失が出る事はないだろう」との見解を明らかにした。
一方、ペトロブラス・アルゼンチーナの持ち株分(67・19%)を8億9700万ドルでパンパ・エネルジアに売却した分は、ペソの対ドル価が下がった事で36億2700万レアルの損失に繋がった。
また、7、8月に希望退職者を募集した事で生じた経費12・6億レアルや米国での裁判の和解費用11・8億レアル、プラットフォーム建設その他で生じた供給会社の負債の肩代わりなども、赤字拡大を招いた。
その一方、原油採掘は日産287万バレルで、前期比で2・3%、昨年同期比では2・5%増えた事や、負債額が3982億レアルとなり、15年末現在の4930億レアルより19・2%減った事、手持ちの運転資金が216億レアルまで回復した事などは朗報だ。特に岩塩層下の油田からの採掘は生産能力の限界に達しており、採掘経費はバレル当たり8ドルに低下したという。
また、下院が9日に、岩塩層下の油田開発へのPBの参加義務を免除する法案を承認した事で、外国企業がPBならびに岩塩層下の油田開発に投資する可能性が高まった事も、明るい材料だ。この法案は現在、テメル大統領の裁可待ちだ。
10日付のアジェンシア・ブラジルによると、シェルとシェル・ブラジルの代表が10日にテメル大統領と会い、向こう4年間で100億ドルの投資を行う意向を表明。これらの投資は、PBと共同で行う岩塩層下の油田開発を最優先して行う予定だという。