チッチ新監督のもと、セレソンがW杯南米予選で破竹の5連勝を記録中。11節終了時点で勝ち点27点で首位と、好調を続けている。
それにしても、チッチ氏にバトンタッチされる前と後のセレソンは、全く別のチームのようになっている。チッチ氏が9月に采配を引き受けるまでは、W杯進出圏外の6位と苦しんでいたが、その後の5試合は全て勝利したのみならず、その間の合計得点が15点、失点わずか1と圧倒的な強さ。しかもこれは、コロンビアやアルゼンチンといった、本来なら強敵のライバル国との試合も含んでの結果だ。
好調の理由としては、まずセレソンがかねてから指摘されていた「ネイマール依存症」を脱却していることが大きい。この5試合でも、ネイマールは15得点中9点の得点に絡むなど、相変わらず攻撃の主軸ではある。だが、その内訳は「ゴール4、アシスト5」で、むしろゴールを演出する側が目立っている。
その一方で、19歳の新センターフォワードのガブリエル・ジェズスがセレソン・デビューから5戦で4得点を叩きだしたのも大きく、また、右ウイングに加わったフィリペ・コウチーニョも、自身が司令塔としてチームを牽引するリバプールがプレミア・リーグ首位を走る好調ぶりをセレソンでも反映させている。
ネイマール以外になかなかフォワードが安定しない状況は14年のW杯の頃からそうだったが、この3人でようやく歯車が合いだしたようだ。
また、チッチ監督がもたらした最大のサプライズと呼ばれているのが、2列目を守るレナト・アウグスト、パウリーニョの存在だ。2人共、チッチ氏のコリンチャンス時代の教え子だが、現在は共に中国リーグでプレーしており、「ひいきしないで。もっと他にいい選手が欧州にいるではないか」との批判の声も少なくはなかった。
だが、レナトは召集されたリオ五輪のときから継続して、攻撃の前線で「縁の下の力持ち」的な好プレーを持続。14年W杯のレギュラーながらイングランドのトッテナムを追われ。中国移籍で落ちぶれたと思われていたパウリーニョも、イエローカードの多さこそ指摘されるものの、アルゼンチン戦では2013年以来となる得点も決めるなど活躍中だ。
この2人の場合、大きいのは、「チッチ監督のしたいサッカーを理解できている」ことにあるようだ。その例がアルゼンチン戦でも見られた。この日、1人でボランチを守っていたフェルナンジーニョは相手エース、メッシのマークに当たっていたが、ファウル二つを取られた上、イエローカードまでもらった。
フェルナンジーニョがこれ以上ファウルを続けるとイエロー累積退場の恐れもあったが、チッチ監督は2列目の左右を逆にし、パウリーニョを左側に移すことで、もともとが守備型の選手だった彼本来のプレーをさせ、レナトを攻撃に専念させた。するとパウリーニョが守備でメッシを封じ、その後、レナトがゴール前で作ったチャンスに後ろから駆け込んでシュートを決めるなど、この試合での乗りの良さを反映させたようなプレーをアピールした。
また、5試合で1失点の守備の要となったセンターバックのマルキーニョスは、アルゼンチン戦の前日、チッチ氏に関し、「ものすごく細部にまで情熱的な人で、かつ、サッカーをわかりやすくさせることが出来る人だ」と取材で語っている。(11日付グローボエスポルテ、同UOLサイトより)
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