ルーラ元大統領が第2期政権の最中に、大統領官邸前のプール周辺の改修工事を連邦政府との契約もなく行っていた疑惑が、オデブレヒトの元社長マルセロ・オデブレヒト被告を巡るラヴァ・ジャット作戦の捜査で明るみに出たと、13日付現地紙が報じている。
ルーラ氏はこれまでLJに関し、サンパウロ州内の二つの豪邸を介した贈収賄工作など3件の疑惑で、連邦警察の捜査を受け、パラナ州連邦地裁とブラジリア連邦地裁ですでに被告の扱いを受けている。これらの3件の疑惑は、ルーラ氏が2011年に大統領職を下りてからのことだった。
だが、今回発覚したこのプールの改修工事は、ルーラ氏がまだ2期目の在任中に起こった点で注目されている。
このプール疑惑は、連邦警察がマルセロ被告らが交わしていたメールの内容を分析していて発覚した。最初に注目されたのは、同被告が2008年4月1日に、当時、オデブレヒト・グループの建設会社ノルベルト・オデブレヒト社社長だったベネジクト・バルボーザ・ダ・シウヴァ・ジュニオル氏と交わしたメールだ。そこでマルセロ被告はベネジクト氏に対し「父が今日、アミーゴに会うが、ペドラ(床用に使う石)の作業は無事に終わったか」というメールを出していたことだ。
連邦警察は、ルーラ氏とマルセロ氏の父のエミリオ氏は親友で、社内ではルーラ氏のことを「アミーゴ」の隠語で呼んでいたことを別の捜査で掴んでいる。「アミーゴ」なる名前は、オデブレヒト社の賄賂分配票にも、支払われたとおぼしき額と共に記載されていた。
また、マルセロ被告はこの1カ月前、社員のひとりから、ヴァーレ社役員だったカルロス・アニージオ・フィゲイレード氏(2013年死去)が「ブラジリアのプールに花崗岩を敷き詰める件でベネジクト氏とすぐに話したがっている」との連絡をもらっている。
このときのマルセロ被告からベネジクト氏へのメールには、「同件はメディアにもらさないようにし、もれたときの対策も講じておくように。(Vale元社長のアギネル・)ロージェル氏との話で、彼が材料を調達し、うちが工事をやることになったが、互いの名前は表に出さないことになっている」とあり、この工事の件が発覚することを恐れている様子が書かれていた。
大統領府の記録には、同年は大統領官邸のプール周辺に花崗岩を敷き、人々がくつろげるスペースが作られたことが記載されているが、2008年から16年にかけて行なわれた大統領府の工事記録には、どの会社がいくらで請け負ったかが記載されておらず、契約書も残っていない。
なお、2013年にポリ・エンジェニャリア社へプールの弁二つとフィルターの砂、電気ケーブルの交換費用として18万5千レアルが支払われた記録は残っている。