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腰痛改善コラム=サムライの姿勢=メディカルトレーナー 伊藤和磨=(13)=「スマホ・シンドローム」

 短い秋が過ぎ去り、日本は本格的な冬が到来しました。既にダウンジャケットが必要なほど、朝晩の冷え込みが厳しくなっています。
 これからホットな夏を迎えるブラジルが羨ましいです。
 今回は、毎日何時間もスマートフォンを操作している「スマートフォンシンドローム」の人たちが患いやすい、身体的なダメージについてお話します。
 「首と肩が慢性的に凝っている」という方、もしかしたら、携帯を操作している姿勢が原因かも知れませんよ。

【フォワード・ヘッド・ポスチャーは万病の元】

イラスト1 現代人の多くは、胴体から頭が垂れ下がった「フォワード・ヘッド・ポスチャー(頭部前方突出姿勢)」になっています。頭の重さは、体重の約8~10%あります。頭が2・5センチ前方に出る毎に、首にかかる負担は4キロも増加します。
 ハードなデスクワークをこなす人たちは、頭が理想の位置から4センチ以上前に出ている人が大勢います。
 パソコン作業も首肩の筋肉と関節に持続的な負担を強いますが、スマホを覗き込む姿勢は、さらに大きな負担を強いることが判明しています。
(※イラスト1挿入)
 フォワード・ヘッド・ポスチャーが常態化すると、首肩の凝りだけでなく、偏頭痛、顎関節症、呼吸パターンの劣化、自律神経失調症、慢性疲労、五十肩、抑うつなど、様々な問題の引き金になるのです。
 健康寿命を延ばすためには、ヘッド・フォワード・ポスチャーになっている時間を減らすことが大変重要です。

【首に優しいスマホの操作姿勢】

イラスト2 イラスト2は、首の角度変化によるストレスの増減を示したものです。
 45度くらい首を曲げて、スマホの画面を何十分も覗いている人が大勢いますが、22キロもの負担が首にかかっていることを知ったら、さぞかし驚くことでしょう。これなら、首や肩が凝ってしまうのが理解できますよね。
イラスト3 イラスト3は、首への負担を最小限におさえたスマホ操作姿勢です。
 立位や座位に関係なく、骨盤を立てて背筋を伸ばしたニュートラルスパイン(生理学的湾曲)に保つことが大事です。
 次に、スマホを持っている腕の肘を反対の手のひらで支えて、腕と肩の負担を減らします。さらに、あごを引いて舌先を上の歯の裏側に押しあてておくことにより、首のインナーマッスル(筋肉)が働いて、頚椎の安定性を高めることができるのです。
 正しいスマホ姿勢を身に付けて、時々持ち換えるようにすれば、スマホ・シンドロームに陥るリスクを大幅に軽減できます。是非とも、お試しください。

【プロフィール】

プロフィール画像伊藤和磨(いとうかずま)1976年7月11日生まれ 東京都出身 

メ ディカルトレーナー。米国C.H.E.K institute 公認practitioner。2002年に「腰痛改善スタジオMaro’s」を開業。『腰痛はアタマで治す』(集英社)、『アゴを引けば体が変わる』 (光文社)など14冊を出版している。「生涯、腰痛にならない姿勢と体の使い方」を企業や学校などで講演している。