サンパウロ市地下鉄の工事の遅れで、駅建設のために立ち退かされた地区の不動産物件が荒廃し始めていると、22日付フォーリャ紙が報じている。
サンパウロ市地下鉄はあちこちの線の建設や延長工事が大幅に遅れ、竣工予定を過ぎた2017年、18年でも完成する見込みが立っていない。
そのため、駅の建設を見込んで立ち退きを迫られた不動産物件が廃墟と化し、市民の生活を悩ませているという。
地下鉄2号線の「延長線」(ヴィラ・プルデンテ―グアルーリョス間)のアグア・ラーザ駅の予定地(東部)では、商店街に行く人で街がいっぱいになることを想像していた。ところが人はまばらで、廃墟となった家屋は落書だらけになり、割れた窓ガラスからは撤去し忘れたソファが見える状況だという。
ブラジランジア(北部)からリベルダーデ(セントロ)をつなぐ「6号線」の駅予定地でも同様の状態が起きているという。同線は2020年に操業開始が見込まれながらも、先日、サンパウロ州が工事の凍結を宣言した。
この2線の工事だけで、598軒の家屋が立ち退きを命じられていたという。
また、駅建設予定地の近隣住民の話によると、廃墟と化した家屋が夜になると麻薬常習者のたまり場にもなるといい、そうした街の荒廃ぶりから、近隣にある商店の中には「常連客が寄り付かなくなった」などの被害を受けたところもあるという。
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