ブラジル連邦政府は21日、今年と来年の国内総生産(GDP)成長率予測を下方修正したと、22日付現地紙が報じた。
今年のブラジルGDP成長率はマイナス3%の予測だったが、マイナス3・5%に、来年のGDP成長率も、プラス1・6%の見込みがプラス1%に、それぞれ下方修正された。
ブラジル財務省のファビオ・カンチュック経済政策局長は、「各企業の借り入れ利率は依然として高い。借り入れ利率の高さは景気後退のシグナルだ。それが払拭されていない」とし、経済活動が減速して収益率が落ちているために各企業の金融機関からの借り入れ利率が高止まりしていることを、今回のGDP予想見直しの主な理由に挙げた。
同氏は、今回のGDP予測見直しには、いわゆる〃トランプショック〃は考慮されていないとした。その理由は、米国の利上げ予想によるレアル安と、予想されるトランプ氏の政策に基づく鉄鉱石需要の増大といった具合で、ブラジル経済にとって利益となる事と不利益となる事が同時に起きているからだ。
3カ月前、経済政策スタッフは、来年のGDP成長率予測をプラス1・2%から同1・6%に上方修正し、見込み税収も142億レアル増やしていた。この税収増は、政府が増税を避けるための主要財源となるはずだった。
しかし21日、ファビオ・カンチュック局長は、GDPには為替相場や給与総額なども反映されるため、企業活動の活性度や、それによる税収の増減に直結するわけではなく、GDP成長率の見通しが低下した事が、すぐに税収低下につながるとするのは時期尚早だとした。