サンパウロ州検察局とサンパウロ市警の合同捜査により、22日に弁護士33人とその親族2人、さらにサンパウロ州人権保護審議会副議長のルイース・カルロス・ドス・サントス氏が、麻薬密売組織の州都第一コマンド(PCC)に協力していたとして逮捕されたと23日付現地紙が報じた。
逮捕者の中で唯一名前が明らかにされた人権保護審議会副議長のドス・サントス氏への罪状は、警察と刑務所制度に対して偽の告発を行ってPCCから賄賂を受け取った容疑だった。弁護士の親族2人はどちらも、武器不法所持の現行犯で逮捕された。
逮捕された36人中、女性弁護士1人だけは、同日中に釈放された。36人の容疑者の逮捕や家宅捜査などには、サンパウロ州広域で700人を超える警察、検察官が動員された。
同件の捜査は1年半前から始まり、55人が捜査線上に上がっていた。14人は刑務所に収監されているPCC幹部で、41人は刑務所外の協力者たちだった。逮捕令状は41件出されたが、弁護士7人は所在不明で逃亡とみなされている。
逮捕劇は、警備体制が厳重な刑務所が集中するサンパウロ州西部を中心に行われた。容疑者らの自宅からはノートパソコンや携帯電話、書類などが押収された。今回の逮捕は皆、5日間の一時拘留だ。
弁護士達はその容姿から「ネクタイ連合」と隠語で呼ばれ、PCC幹部と結託していた疑いがもたれている。弁護士達は服役中のPCC幹部を訪問することで、刑務所の内部と外部の情報伝達を助けてもいた。
服役中のPCC幹部の弁護人ではなかったのに、弁護士特権を悪用して面会していた弁護士もいた。「弁護士達はPCCの〃伝書鳩〃の役割を果たしていた。これは極めて重い罪になる」とマギノ・アウベス・フィーリョ、サンパウロ州保安局長は語る。
弁護士達には、PCCが報復などの意図で標的としている市警や軍警とその家族、約100人分の名前や写真、詳細を掲載したリストを作成し、PCCに渡していた疑いも持たれている。
人権保護審議会は「ドス・サントス氏は数年来、行きすぎた警察権力の行使を告発する立場で働いてきたし、同氏による告発は全て、きちんとした根拠があった。同氏逮捕は驚きだ」との文書を発表。同氏逮捕は警察による報復と見る向きもあるが、同氏はこれまでにも数回、警察の捜査の対象となっている。