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ラーモス平和資料館が全焼=蜂の駆除作業中に発火=鐘と灯は無事、再建困難か

無残な姿になった平和資料館。事故から一夜明けた23日、ユーカリの支柱からはまだ煙が立っていたという(山本和憲さん撮影)

無残な姿になった平和資料館。事故から一夜明けた23日、ユーカリの支柱からはまだ煙が立っていたという

 22日午前、サンタカタリーナ(SC)州フレイ・ロジェリオ市にあるラーモス移住地の平和資料館で火災事故が起き、建物が全焼した。くん煙による蜂の駆除作業中に発火した。けが人はなかった。平和の鐘は現場から持ち出され無事だったが、その他の展示品は焼失し、再建のめどは立っていない。

 平和資料館は、以前から天井部分に蜂が巣をつくり、来館者への攻撃が心配されていた。クリチバーノス消防署に処置を依頼していたが、当分の間は無理だと断られていたという。
 今週には、近隣の小学校2校から約100人の来訪を控えていた。児童への被害が懸念されたため22日朝から、フレイ・ロジェリオ市役所による駆除作業が行なわれたという。殺虫剤による駆除が効果的でなかったため、煙での追い出しを試みたことが火災に繋がった。
 天井はアルミ製の板材だったが、発泡スチロールやビニール素材も使用されていた。それを認識しない作業員が、不用意に火を近づけたことで燃え移った。地域住民の話では午前11時過ぎの出火とみられる。
 火は瞬く間に建物全体へ燃え広がり、30分後に消防車が到着したが手遅れだった。この火災でけが人はなかったが、戦争や原爆に関する多くの展示物を失った。唯一、長崎市寄贈の平和の鐘だけを持ち出すことができたという。
 資料館には昨年12月に、長崎から世界平和の願いを込めた「平和の灯」が分灯されたばかりだった。室内灯火台はステンレスの輝きが失われ、ガスボンベも破裂していた。ただし、「平和の灯」の充電池の一部が別の場所に保管されていたため、再建時にも問題なく点火できるという。
 フレイ・ロジェリオ市の岩崎秀樹副市長が、ブラジルメディアの取材に応じている。G1には「原爆被害者や子孫によって建てられた歴史的施設。観光場所の一つでもあり、資料館を失うことは非常に悲しい」とのコメントが掲載された。建物の再建は財政上困難とも語ったが、「復旧は必要だ」との見方を示している。
 またラーモス被爆者協会の小川渡会長も火災事故に落胆した。知人を通じ、「再建に向け多大な労力と資金を必要とするが、世界平和を願う全ての人々の協力なしには成し遂げられない」と前を向き、今後の協力を呼びかけた。


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 ラーモス移住地の文協には、事故からすぐに各方面から励ましや協力の申し出などが寄せられたそう。フェイスブックを通じ、南大河州ポルト・アレグレの医師、森口家からも連絡が寄せられた。何度も巡回診療で訪れた土地だけに、思い入れも強いよう。世界平和の発信拠点を失った意味は大きい。再建には南伯だけでなく、全国各地から救いの手が必要だ。