ブラジル連邦上院議会で重要法案審議が控える中、レナン・カリェイロス上院議長(民主運動党・PMDB)には政界汚職捜査、ラヴァ・ジャット作戦で多くの嫌疑がかけられた上、「地裁判事ごときが」発言でカルメン・ルシア最高裁長官と対立するなど、不安要素が立ち込めていた。そんな中、最高裁が1日、連邦検察庁の提出した同議長への告発を受理し、現職上院議長が被告になったと1、2日付現地紙、サイトが報じている。
レナン議長が被告となった1日、ラヴァ・ジャット作戦を指揮するセルジオ・モーロ判事は、上院本会議に招かれて講演した。
その中でモーロ判事は、「汚職防止法を骨抜きにする修正動議を上院が承認する事は、LJ捜査を妨害し、上議達が罪を免れようとする試みだととられかねない。今は修正汚職防止法承認に適切な時期ではなく、もしそれが行われれば、ブラジル社会に間違ったメッセージを送る事になる」と語った。
多くが汚職捜査の対象である上議達からは反発の声も出た。リンドベルギ・ファリアス上議(労働者党・PT)は、「貴方がLJ捜査で重要な役割を果たしている事は承知しているが、何者も法の上に立つ事は許されない」とした。
同席したジウマール・メンデス最高裁判事も、「〃適切な時期〃とは一体いつか? またしても諸々の作戦を繰り返し、議会が〃適切な時期〃を探る時間を持たせるおつもりか?」とモーロ判事に嫌味を言った。
モーロ判事は11月29日深夜に下院で汚職防止法が承認された後、30日未明にかけて修正動議が次々に可決された事にも触れ、「繊細な議題を、議論を尽くす事もせず、深夜に可決、承認した事は適切ではない」とした。
汚職捜査作戦を仕切る判事が、多くが汚職疑惑の対象となっている上議達を前に講演するというシュールな光景の後、最高裁でも上院を揺るがす決定がなされた。
それが、レナン上院議長に対する、公金横領や公文書偽造、偽造文書使用による告発に関する審理だ。11人の判事による全体投票では、告発受理賛成8票、反対3票で現職の上院議長が被告となった。
11月3日に最高裁では、「裁判の被告が大統領職代行権者に名を連ねる事の是非」に関する審理が行われていた。過半数の判事が「被告は大統領職代行権者になれない」(上院議長が被告になると、上院議長の座を失う)としていたが、1人の判事が再考を求め、正式結審には至らなかった。これにより、レナン氏は被告になっても、即座に上院議長の座を失う事にはならなかった。
レナン側は、書面で容疑を否定している。