「年金制度が終わってしまわないように改革を」―。マルセロ・カエタノ財務省社会保障局長が6日に年金改革案(PEC287)を正式発表した翌日、エスタード紙には、そう大書された、大統領府による全面カラー広告が掲載された。
平均寿命が延び、少子化とも相まって、ブラジルの人口は高齢化。年金財政も逼迫化している。15年の社会保障費は850億レアルの赤字で、16年はそれが1400億レアルに拡大する見込みだ。
このまま受給者が増え続け、負担者が減るとブラジルの年金制度は立ち行かなくなることから、ミシェル・テメル政権(民主運動党・PMDB)は6日にPEC287を発表した。
受給開始年齢を政治家や公務員、民間の労働者一律で男女共に65歳からとすること、受給に必要な最低負担年数(年金の積立年数)を25年とすることの他にも、多くの変更案が出された。
最低条件の「65歳・負担年数25年」で受給を始めると、受け取れるのは負担期間の平均給与の76%で、その後1年余計に負担するごとに受給額も1%ポイントずつ上昇していく。満額受給のためには49年の年金負担が必要となる。
PEC287では、農業年金、身障者年金、なども変更になる。
現行法では、農業年金は「女性55歳、男性60歳、農業従事15年以上」で受給できるが、それが「男女共に65歳以上、25年以上の負担」が受給条件となる。
負傷などで就業が続けられなくなり、年金受給に入る人は、現行法では満額受給できるが、改正法案では、就業中の事故で負傷した場合に限り、満額受給が認められる。残りの人々は、例えば就業停止まで15年働いていた場合は、それに51を足して、66%の受給額などとなる。
身障者や精神面で障害を持つ人は、障害の重さ(軽度、中度、重度)に応じて受給条件に差がつけられていたが、これも「男女問わずに55歳以上、20年以上の負担」に変更される。
カエタノ局長は発表の際、「年金改革は既に受給資格を得ている人には影響しない。新たな基準は、あくまでも、新法案施行後に受給資格を得る人に適用される」と強調した。なお、新法案では、複数の年金や恩給を受け取る権利を持っている人は、いずれか一つを選択して受給するようになる。