5日午後、最高裁のマルコ・アウレーリオ・メロ判事が出した暫定令で停職処分を受けたレナン・カリェイロス上院議長(民主運動党・PMDB)が6日、裁判所からの通達受け取りを拒否した上、暫定令への異議を申し立て、最高裁の本審理で結論が出るまでは議長職に留まり続けると宣言した。一方、最高裁は6日、7日にアウレーリオ判事の暫定令に関する全体審理を行うことを決めたが、連邦政府にとっての最大の焦点は、財政支出に関する憲法改正法案(PEC)を通過させられるか否かだ。7日付現地紙が報じている。
6日、上院議長団は会議を行い、暫定令後も、ジョルジュ・ヴィアーナ副議長ではなく、レナン氏を議長に留めることを決めた。ヴィアーナ氏自身もその決定には反対しないことを認めた。
その後、レナン上院議長は議会で記者会見を行い、最高裁には従わず、そのまま議長職に留まることを宣言した。同議長はその際、アウレーリオ判事の暫定令について、「このような職務の終わらせ方は民主主義としてふさわしくない」と言って批判した。
この場合、刑法330条に従うと、レナン議長は最高裁判事による命令に従わないことで、最高で15日間の身柄拘束ということにもなりうるが、最高裁内部でもアウレーリオ判事の命令を疑問視する向きもある。ジウマール・メンデス判事は、アウレーリオ判事の判断は違法とし、同判事の罷免さえ求めた。
また6日は、連邦政府も最高裁も、同件解決をめぐって動いた。政府としては、13日に上院で審議する予定の、向こう20年の財政支出の上限を決めるPECは、経済政策の中核として是が非でも通過させたいところで、同PEC承認にはレナン議長の存在がどうしても必要と考えている。
連邦政府の意向は上院も十分汲んでおり、ヴィアーナ副議長が最高裁に赴いてカルメン・ルシア最高裁長官らと会い、説得工作を行ったとの報道もなされている。
最高裁では6日中に、アウレーリオ判事の判断に対する全体審理を7日に行うことを決めた。7日午前中の報道では、最高裁はレナン議長の議長留任を認めるが、有事の際の大統領業務代行は認めない方向で決着を見るのではないかと予測するものが多く上がった。
大統領業務の代行に関しては、政党・持続ネットワーク(Rede)が提出した「被告となった人物に大統領継承権をあたえてよいのか」との訴えに対する審理が既に始まっている。11月3日の最高裁での審理では結審こそしなかったが、判事投票は既に「被告には大統領継承権は認められない」に賛成が過半数を超えていた。アウレーリオ判事の暫定令は、レナン議長が今月1日に最高裁で被告の判断を受けたのを受けて、同政党が5日に再び同じ訴えを出したのに応えたものだ。
最高裁での審議は7日午後2時にはじまった。