ブラジル非居住者、個人または法人のキャピタルゲイン(債券や株式、不動産など資産価値の上昇による利益)は、特定の税法に従います。
これらの租税法は様々な法律が含まれており、個人の場合は2002年の規範命令SRF208号、及び法人の場合は、2014年の規範命令RFB1455によって規律されています。
一般的には、収入、キャピタルゲインおよびその他の収益に関しては、ブラジルに源泉があり海外法人が享受する、または送金される場合には、他の特定の税率がない限り、15%の税率で課税されます。
また、受益者が課税タックスヘイブンの国に居住している場合には、25%の税率で課税されます。ブラジルと非居住国の間に租税条約が存在する場合には、租税条約が優先されることになります。外国に居住する法人が、ブラジルに保有する資産または権利の処分から生じたキャピタルゲインについては、15%課税されます。
この場合、源泉徴収税の徴収の責任は次のとおりになります。
I【取得者】取得者がブラジル居住者である個人または法人の場合
Ⅱ【代理人】取得者がブラジル国外に居住または所在している個人または法人の場合
ブラジルで取得したキャピタルゲインは、売却額と資産または権利の取得価額との差であり、その取得価額は適切かつ信頼性がある証憑(事実を証明するもの)によって証明する必要があります。しかし、最近これらの規則についての修正に関する議論が提起されています。
IN RFB1.455の原文では、中央銀行に登録されている外国資本の登録額に基づいて取得価額を証明する必要があります。証明が不可能な場合はその金額はゼロとみなされます。
しかしながら、キャピタルゲインを計算するためには、中央銀行に登録されている外国資本の金額が資産または権利の処分日の為替レートを考慮すべきという議論がある一方、税務当局は、1996年以降、その価額は金銭的修正がないレアル建てで登録されるべきであると規定しています(1995年まではインフレ率に基づく金銭的修正があった)。
それにもかかわらず、2016年9月30日発行のRFB1.662号では、中央銀行登録済の外国資本に基づき、取得価額を証明することと規定されました。
我々の見解では、税務当局は、キャピタルゲインの計算を行う場合に、中央銀行に登録された外国資本の額を無視するということを意図したものではないが、取得価額にかかる仮定が全ての状況において合法となることを排除しようとしていると考えられます。
したがって、税務当局に対しては、中央銀行に登録されている資本額とその金額を証明する証憑が重要となります。
ここで重要なことは、日本企業のブラジル子会社の場合には、日伯租税条約により、日本に居住するまたは所在する受益者はブラジルで獲得したキャピタルゲインの課税が防止可能ということで、この改定による、実質的な影響はありません。
(問い合わせ:claudio.yano@pwc.com/carolina.sakama@pwc.com/nobuyuki.yahagi@pwc.com
※この記事は、ブラジルにおける法令等の改正動向等をお知らせするため発行されたものであり、一般情報の提供を主たる目的としていますので、個別ケースに対する専門的アドバイスとして、ご利用頂けない場合がございますのであらかじめご了承下さい)