7四半期連続の国内総生産(GDP)減少と、中々出口の見えないブラジル不況。雇用の低迷と、それに伴う一般家庭の収入低下が消費を抑えている。
13日発表のブラジル地理統計院(IBGE)のデータによると、10月の全国の小売店の売上高は9月比でマイナス0・8%を記録し、4カ月連続で、前月より落ち込んだと14日付現地紙が報じた。これにより、GDP減少は次の四半期も続くことが予想される。
全国財・サービス・観光商業連合(CNC)のエコノミスト、ブルーノ・フェルナンデス氏は「雇用が未だに不安定だ。失業が少しおさまるとしたら来年の後半以降で、景気回復は早くても来年下半期以降になるだろう」と語った。
投資顧問会社CMキャピタル・マーケッツ社のエコノミスト、ジェッシカ・ストゥラスブルギ氏も、「汚職疑惑噴出などによる政界の混乱が消費者や企業家の信頼感を大きく損ねている。年末に向けて好材料はない。インフレが沈静化してきた事は良い兆しだが、それだけでは消費回復にはつながらない。雇用回復と信頼感の回復が不可欠」と分析している。
IBGEはまた、10月のサービス部門の売り上げも、15年10月比で7・6%のマイナスだったと発表した。これは2012年の統計開始以来、最悪の値だった。
10月の値を9月と比較した場合はマイナス2・4%で、前年同月比より数値が小さい。9月と8月は各々、前月比でマイナス0・3%とマイナス1・6%だった。
10月の場合、公共交通や運輸・郵便部門と、情報・通信サービス、運営補助、観光部門などが軒並み減少し、家族向けサービスのみが0・1%の上昇を記録した。
建設大手オデブレヒト社元幹部の司法取引の供述内容が漏洩したことで大揺れのテメル政権は、今週中にも新たな短期景気刺激策を打ち出す意向だが、政治不信こそが景気回復も遅らせる一因と指摘する声もあり、窮地に立たされている。