日本政府による2016年度秋の叙勲の伝達祝賀式が14日午後、在聖総領事公邸で行なわれた。元文協会長の木多喜八郎氏(72、二世)=旭日小綬章=、柔道の元ブラジル代表監督の篠原正夫氏(92、同)=旭日単光賞=らが栄誉に浴し家族ら約50人と共に受章を祝った。
前述の2氏ほか現文協副会長の松尾治氏(78、福岡県)=旭日双光章=、兵庫県人会長を長年務めた尾西貞夫氏=旭日単光章=(73、兵庫県)、谷口ジョゼ潔氏(61、二世)=旭日双光章=も受勲した。
主にコロニアでの貢献が評価された受章者はそれぞれ、「今までの活動は全て日系社会の協力があってこそ」(木多さん)「一層社会貢献に励め、という意味と受け止める」(松尾さん)。「多くの活動に携わったが、まだやり残したことがある」(尾西さん)と語り、感謝や意欲をしめした。
スポーツ界では柔道の普及、強化に努めた篠原さんが受章した。あいさつでは「受章するとは夢にも思わなかった」と驚いた様子。「毎日を大切に過ごして生きたい」と今の心境をのべた。
治安改善などに貢献したとして受章したのは、元サンパウロ州軍警の谷口さん。現役時代は、日本式の地域警察活動の普及を促し、日本警察とサンパウロ州軍警の協力関係の構築に努めたことが評価された。
JICAを通じ訪日研修も経験した谷口さんは流暢な日本語で感謝を述べ、「サンパウロ州警察、日本警察、日本国総領事館、JICAなど日本の地域警察活動の導入への協力者に感謝。今後も惜しみない協力をしたい」と意欲的に語った。
受章者5氏に対し同日夜には、サンパウロ市文協で祝賀会も開かれた。呉屋春美文協会長は各氏の功績を読み上げ、「日系社会の貢献者が栄誉に預かることは大変誇らしい。またスポーツ、法律、治安維持という多分野での活躍が認められた」と喜びを語った。
後日ブラジリア大使館で伝達を受ける日系初の連邦高等裁の元判事、上田雅三さん(74)=旭日重光章=も加わり、会場の貴賓室は知人、友人らで一杯に。特に篠原さんには公邸、文協共に多くの関係者が訪れた。現代表監督の息子ルイスさんは東京遠征中のため欠席したが、サンパウロ州柔道連盟のアレサンドロ・プグリア会長らが師の栄誉を喜んだ。
88年ソウル五輪金メダリストで、現在は政治家に転身し活躍するアウレリオ・ミゲルサンパウロ市議も弟子の一人。公邸へ祝福に駆けつけ「今でも私の師匠。柔道理念など体だけでなく心も鍛えられた。師の受章はとても喜ばしい」と微笑んだ。
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在聖総領事公邸で行われた『秋の叙勲伝達式』で受勲した篠原さんを取材しようと、当地テレビ局のバンデイランテス、グローボ・エスポルテも来場していた。関係者によれば、18日午前1時半からグローボのスポルTVで放送される『センセイ・コンバット』番組内で、篠原さんについて放送されるそう。ブラジル柔道を五輪メダルの最多種目に育てあげた男の生涯が描かれる。深夜帯なので予約録画してみては。