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[シリーズ] 本当に大丈夫? サッカーW杯=試合都市の交通インフラ改良の完成度はわずか25%=(2) クイアバ編

ニッケイ新聞 2014年1月22日

日本代表も試合をする中西部マット・グロッソ州の州都クイアバ。この地でのW杯向けのインフラ整備工事のメインプロジェクトは、VLT(輸送力が軽量級の都市旅客鉄道)の建設だ。ところが大会前に全体は出来上がらず、完成するのは一部と見込まれている。

VLTの建設工事は昨年6月になって始まり、今年3月の完成予定だった。しかし、大会開始まで半年を切った現在になって、州政府はスケジュールを変更すると発表している。昨年10月に現地を視察したアウド・レベロ・スポーツ相、シルヴァル・バルボーザ州知事も、大会までに全部は完成しないことを認めている。

パラナ州クリチーバなどで導入されているバス・ラピッド・トランジット(バスを用いて大都市、その都心域の大量公共旅客幹線輸送を実現するシステム)を建設するというのが元々の案だったが、VLTはそれに代わるプロジェクトとして承認されたものだ。これだと予算は3億5千万レと、VLTよりは少ない金額だった。

州政府は「VLTはより現代的で快適、動力も電気なので環境にもやさしい」とコメントしており、Secopaのラファエル・デトニ技師は「クイアバ大都市圏のような80万人都市圏に、電機で動くVLTを導入するのは国として初めて」と言う。

入札も行い、14億レで落札されたVLT建設は、同州がこれまで実施した公共工事のうち最も高額のプロジェクトだ。電気エネルギーで動くこのVLTは、同州の主要空港マレシャル・ロンドン空港があるヴァルゼア・グランデ市からクイアバの中心地を結ぶことを想定している。

クイアバ大都市圏を縦断する22キロの線路は、公的交通機関のサービスの質を上げ、州の交通量を12%減らすと州政府は予測している。

第一弾のスペイン製の車両は到着し、11月初めにクイアバの道路でお披露目されたが、州の会計監査院(TCE)によれば、VLT建設の完成度は、昨年7月時点で全体の37・98%。契約上では69%まで出来ていなくてはいけなかったものだ。

レベロ大臣は、建設予定の二路線のうち、メインの方の空港に接続する15キロの路線を優先して建設すべきだとした。7・2キロのもう一つの路線は、クイアバ中心部から郊外のコシポー地区をつなぐ。

工事を担当している3社のコンソーシアムは、「(工事の進行状況については)州政府が発表すること」とコメントを避けている。

12月のG1の取材に、州政府内のW杯の特別準備局(Secopa)は、「(VLT建設の)計画を見直しているが、もともとの完成時期だった今年3月の完了を目指して検討している」と書面で発表した。

VLT用車両の手配、線路と駅の建設に加え、五つの高架道路、四つの堀、二つの橋の建設が計画されている。(2013年12月9日付G1サイトより)