ブラジルの工業・貿易・サービス省(MDIC)が2日、16年度の貿易収支は輸出1852億ドル、輸入1375億ドルで、1989年の統計開始以来、最大となる477億ドルの黒字を計上したと発表したと3日付エスタード紙が報じた。これまでの最大黒字額は06年の464億ドルだった。
今回の黒字は、輸出が3・5%減に止まった一方、輸入が20・1%減少した結果。これは、景気後退が深刻化して、部品などの原材料を含む品物の輸入が大きく落ち込んだ事と、為替が若干ドル高に振れた事などによる相乗効果で、決して手放しで喜べる内容ではない。
詳細を見ると、輸出量は15年比2・9%増の6億4500万トンで、7年連続で増加。項目別では、鉄鉱石や原油、砂糖、セルロース、鶏肉、生のオレンジジュースが過去最大量を記録。自動車輸出は前年比13万5千台(44・3%)、飛行機輸出も前年比34機(15・3%)増えた。
16年度の輸出を支えたのは一次産品を中心とする品で、工業製品の輸出は輸入を437億ドル下回った。15年の工業製品の貿易赤字は719億ドルだったが、16年は自動車や飛行機の輸出が増えた事で、赤字額が前年比40%減り、09年以来最小となった。
輸出量が増えたのに輸出額が減ったのは、砂糖が12・3%値上がりした以外は軒並み価格が低下し、平均で6・2%値下がりしたせいだ。
一方、輸入量は前年比12・2%減り、平均価格も9%低下。輸入量が最も減ったのは燃料の43・1%で、原油の輸出額(134億7800万ドル)が輸入額(130億6800万ドル)を史上初めて上回った。資本財の輸入は21・5%、消費財や中間財の輸入も19・3%と14・9%減少した。
MDICでは、今年の貿易額は輸出額、輸入額とも昨年度を上回るが、全体としては16年度と同程度の黒字となると見ている。