アマゾナス(AM)州マナウス市で1~2日、アニージオ・ジョビン複合刑務所(Compaj)など4施設で、脱獄や暴動が相次ぎ、60人が死亡、112人が脱獄したと、3日付伯字各紙やサイトが報じた。
同市での暴動は、1992年に111人の死者を出した、サンパウロ市カランジルー刑務所での暴動に次ぐ規模のものとなった。
Compajでの暴動は、サンパウロ州を拠点に全国進出を図る州都第一コマンド(PCC)の動きを嫌う、ファミリア・ド・ノルテ(FDN)と呼ばれる麻薬密売組織の構成員が仕掛けたもので、同刑務所内での死者56人はPCC構成員だった。
事の発端は、アントニオ・トリンダーデ刑務所の囚人87人の脱獄で、その後に5キロ離れたCompajで暴動が始まった。Compajでは刑務所職員や囚人らが人質にとられ、112人が脱獄、暴動は15時間後に沈静化した。
また2日午後には、裁判前の逮捕者収監施設で脱獄が試みられた他、24キロ先のプラケクアラ刑務所でも囚人4人が殺される混乱が生じた。
セルジオ・フォンテス同州保安局長は、カランジルー事件の二の舞を避けるため、暴動が発生している間は警察による刑務所内介入を避けたと説明したが、現場に駆けつけた家族の一部は、覆面警官が囚人を銃殺するところを見たという。
ジョゼ・メロAM州知事(社会秩序共和党・Pros)は、「事件は全国で起きている麻薬密売者たちの抗争の一部で、AM州も影響を免れなかった」と語った。
現場を視察した州地裁刑罰執行法廷のルイス・ヴァロイス判事は、「腕や脚、頭などが切り落とされたりした死体の山だった。あんな恐ろしい光景は見た事がない」と語った。
Compajは昨年10月の法務審議会の監査で、金属探知設備や携帯電話電波の遮断機もない上、囚人への法的保護や医療体制、教育環境などの質は劣悪な更生施設と判定されていた。
同市では計184人が脱獄したが、2日夜までに48人が捕まった。
2日夜、アレシャンドレ・モラエス法相は、暴動の首謀者を見つけ次第連邦刑務所に送るとし、今年は全国の刑務所の整備に18億レアルの予算が割かれるとした。
メロ知事も、刑務所の警備強化のため、定期監査の強化、軍警による視察などの即効性のある方策をとると共に、マナウスなど州内3市に刑務所新設の意向を表明した。
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