1月1日から翌2日にかけて発生し、60人の死者と186人の脱走者を出した、アマゾナス州マナウス市内の刑務所での暴動は、ブラジルに留まらず、世界的に耳目を集めている。
5日付のニュースサイトG1は、2016年はブラジル全土の刑務所で392人の囚人が暴力事件で死亡したと報じた。死者数1位は、昨年5月に囚人同士の抗争から14人が死亡した北東部のセアラー州の50人で、2位はペルナンブッコ州の43人だ。アマゾナス州は10人で13位だった。
ブラジルの刑務所での暴動は、定員に対して収監者が多すぎる事と、所内にも犯罪組織の抗争が持ち込まれる事が主要因だ。
アマゾナス州会計検察局は4日、「(州の委託で6つの刑務所を管理している)ウマニツァーレ社は、刑務所管理費が他州より高いのに管理が不行き届きだ」との報告書を出し、州政府に同社との契約打ち切りを求めた。
同州財務局によると、16年のウマニツァーレ社への支払いは前年の2倍強の4億2940万レアルで、囚人1人あたり月5867レアルを支払っていた計算になる。この額は、2100レアルとされる大サンパウロ都市圏の約3倍だ。
アマゾナス州会計検察局のルイ・マルセロ検事は、「刑務所内は完全に統制を失っている」と報告書に記した。刑務所内には様々な武器、携帯電話、脱出用トンネルがあることが確認されている。
法務省は、刑務所の管理を民間に委託する形態を、「危険度の高さに関わらず給与が低いため、定着率が低く、囚人に買収されやすくなる」と批判している。
批判を受けたウマニツァーレ社は、「弊社の任務は刑務所内の清掃、囚人への法的、社会的保護、電子機器を使った囚人監視で、所内治安管理に直接的に関わるのは州」と発表した。
テメル大統領(民主運動党・PMDB)は5日、事件発生後初の関係閣僚会議を招集し、その席で犠牲者を悼み、遺族への連帯の意を示した。
同会議に出席したアレシャンドレ・モラエス法相は「AM州政府は事件発生の危険性を知っていたはず」と同州を批判した。