15年10月~16年9月に米国への不法入国を試みて逮捕されたブラジル人は3525人おり、14年10月~15年9月の1344人より142%増えたと4日付フォーリャ紙が報じた。8日付同紙によれば、金をとって不法入国を助ける「コヨーテ」は、バハマからフロリダ海岸へ連れて行くだけで1万2千ドルを請求したという。
米国への不法入国は、メキシコとの国境を渡る陸路と、バハマからの海路の二つの経路がある。
16年は、陸路で入国を試みて逮捕された人が3118人(96%)いたが、陸路だと、メキシコで麻薬密売組織に狙われる可能性が高く、砂漠を横切る必要もあって、危険度が高い。海路は陸路より危険度が低いが、必要経費は陸路の倍の2万ドルが相場だ。
昨年11月6日以来、音信が途絶えているブラジル人12人を含む不法入国希望者は、バハマからの船に乗ると連絡した後に消息を絶った。
8日付フォーリャ紙によると、同紙がバハマで取材したブラジル人のコヨーテは、バハマからなら手数料は1万2千ドルでよいとし、荷物はなるべく小さくする事、GPS付の携帯電話はGPSが付いていない物と交換する事などを要求したという。
また、11月から失踪中の不法入国希望者は、他国の希望者らと共に船に乗り込んだが、その船から麻薬が見つかり、警察に逮捕されているというが、外務省はこの説を否定しているようだ。
12人の失踪後もバハマからの不法入国が試みられた事は、12月27日付同紙が、米国海岸でブラジル人14人が逮捕されたと報じた事からも明らかだ。米国は、当局が許可した場合しか、逮捕者に関する報道を行わず、今回の逮捕者は次回の統計の対象となる。
15年10月~16年9月の海路での逮捕者は91人で、前年同期の海路の逮捕者は42人だったというから、経費が高くても、危険度が低い海路を使う不法入国者が増えている事が窺われる。