19日午後、ブラジル連邦最高裁判所でラヴァ・ジャット作戦(LJ)を管轄するテオリ・ザヴァスキ判事が乗っていた小型飛行機がリオ州パラチー沖の海上に墜落し、同判事と同乗者ら計5人が死亡した。テオリ判事は、12月にブラジル最大の企業オデブレヒト社が連邦検察庁で行った、LJ捜査史上最大級の報奨付供述(デラソン・プレミアーダ)の内容の確認作業中で、2月にはその内容が正式に承認され、公表される見込みだった。20日付現地紙が報じている。
テオリ判事は19日午後1時、サンパウロ市北部のカンポ・デ・マルテ空港から米国製双発機「キング・エア」で、リオ州海岸部のパラチーに向けて飛び立った。そのときの天気は良好だったが、約45分後、同機はバラチー空港の滑走路から約2キロ離れたラザ島付近の海上に墜落した。
パラチー沖で小型機墜落との報道は午後2時過ぎから流れ始めたが、同機にテオリ判事が搭乗していたとの情報が流れたのは午後5時過ぎで、6時頃、息子のフランシスコ・プレン氏がソーシャルネットワークに同判事の死を確認するメッセージを流した。
同乗していた、テオリ氏の親友で企業家のカルロス・アルベルト・フェルナンデス・フィウゲイラス氏(69)、操縦士のオスマール・ロドリゲス氏(56)の死は19日のうちに確認された。20日午前には残る2人の女性が、フィウゲイラス氏のマッサージセラピーを行っていたマリア・パナスさん(23)とその母のマリア・イルダさん(55)であることが確認された。
「キング・エア」の所有者はフィウゲイラス氏の企業「エミリアーノ・グループ」で、墜落機は今年の4月12日までに保守点検すればよいことになっていた。さらに5年後の同日まで飛行可能とされ、老朽化などの問題はなかった。
また、ロドリゲス氏は20年の操縦歴があり、キング・エアも6年間乗りこなしていた。同氏はパラチー空港への離着陸のセミナーの講師も務めており、「未熟な操縦」説は考えにくい。
だが、「墜落機が煙を出しながら飛んでいた」と証言した目撃者がいることや、フランシスコ氏が「父はLJの件で恐喝を受けていた」と語っていることから、LJに関与した人物や組織の陰謀や事件である可能性もあり、空軍だけでなく、連邦警察や連邦検察庁も捜査に乗り出した。
テオリ氏は最高裁でのLJの審理の報告官で、LJに関する報奨付供述のすべてを確認し、認可を与えるなど、全体の統括役でもあった。最高裁休廷中も、オデブレヒト社幹部らのデラソンの内容を確認する作業の担当者らと毎日連絡を取り合い、供述者との個別会見も予約済みだった。
デラソンは2月初旬に承認後、公表許可が出る予定だったが、その供述で前政権の労働者党(PT)や現政権の民主運動党(PMDB)、民主社会党(PSDB)の有力政治家の名前が浮上していることは12月の時点で噂されていた。