かつてブラジルを代表する大富豪として知られた企業家のエイケ・バチスタ氏が、30日午前9時54分、リオ市トム・ジョビン国際空港着の飛行機で帰国し、連邦警察官に逮捕されたと、30日付現地紙サイトが報じた。
バチスタ氏には、2010年にセルジオ・カブラルリオ州知事(当時)に1650万ドル(5200万レアル相当)の贈賄を行った容疑や資金洗浄の容疑などがかけられている。
同氏への逮捕状は26日に出されたが、同氏はその2日前にニューヨーク(NY)に向けて出発していた。
弁護士は、NY行きは元々計画されていた出張だと説明したが、航空券は出発当日に購入され、ドイツ旅券で出国するなど、捜査内容が漏れていた可能性も指摘されている。この時点で同氏は逃亡と見なされ、国際刑事警察機構の国際指名手配リストに掲載された。
29日午後9時50分頃(ブラジリア時間)、NYのJFK空港に1人で現れた同氏は、出国手続きを終え、搭乗エリアで搭乗を待つ間、報道陣に口を開いた。「ブラジル国民に言いたい事は? 未だ知られていない事実があるのか。それも暴露する気はあるか? 自分を無実だと信じているか?」など矢継ぎ早に問われた同氏は、「ブラジルに戻り、法的義務を果たそうとしているだけ。出頭しようとしている今、話すわけにはいかない」と語るに留めた。市民権を持っているドイツに逃亡する意志があったどうか問われた同氏は、「そのつもりはなかった」とした。
リオのトム・ジョビン国際空港に到着後、連警によって逮捕された同氏は、法医学研究所で身体検査を受けた後、午前11時15分頃、リオ市北部のアリー・フランコ刑務所に送られた。
同氏は大学を卒業していないため、カルカッタ作戦やエフィシエンシア作戦で逮捕された容疑者らと同じバングー刑務所第8棟には入れず、アリー・フランコ刑務所に送られた。
弁護人のフェルナンド・マルチンス弁護士は、「バチスタ氏はまだついたばかり。今は刑務所内での身体的安全が保証されるために力を注いでいる。接見を待って、今後の弁護戦略を練る」と語った。
だが、アリー・フランコ刑務所に着いてから約2時間後の午後1時半、エイケ氏は頭髪を剃られた状態で、同じリオ市北部のバングー刑務所に送られた。ただし、収監されるのは第9棟となる。
リオ州当局は、バチスタ氏の身柄は、安全確保のため、特定の犯罪組織の囚人がいないバングー刑務所第9棟に移されたと発表した。