リオ市中央部ラッパ地区の建物を1年にわたって占拠し、住みついていた20世帯が、裁判所からの命令で1月31日に立ち退いた。
リオ州公選弁護人らの仲介のもと、住民達は3時間ほどかけて家財を持ち出し、立ち退いた。
住民は午前8時から立ち退きを始めた。ベッドマットや冷蔵庫、オーブンなどは建物の前に晒された。立ち退いた家族の多くは小さな子供を抱えており、「これから行くべきところも、僅かな財産である家財道具をしまっておく場所もない」と嘆いた。
リオ市ヴィスコンデ・ド・リオ・ブランコ通り38番にある3階建ての建物は、1年前から空き家になっており、寄る辺のない家族が住みついていた。
裁判所から立ち退き命令が出された時は40世帯以上が住んでいたが、先週、立ち退き命令が出たため、約1週間の間に櫛の歯が欠けるように、立ち退く人が出ていた。「ここに住んでいた人たちは、スラム街の住居の家賃すら払えないような、極度な貧困状態にある人たちなのに」と立ち退きに立ち会った公選弁護人のアドリアーナ・バヴィラクア氏は語る。
アドリアーナ氏によると、建物占拠が1年ほどと短かったため、居住許可を得る事が難しかったという。
イオレーネ・マシエルさん(38歳)は、赤ん坊1人、小児2人、高齢の母を含む8人と共に住んでいた。マシエルさんの母親は、立ち退きの際の混乱で気を失って倒れてしまった。
マシエルさんは、息子は最後の家財道具を運び出している間、孫を抱いたまま、「いつかは立ち退き命令が出ると思っていた。13歳の娘は前の夫の母の家に預けたわ。でも、私ははどこに行けばいいの? どうしたらいいのか分からない」と語った。
リオ市は北に10キロ以上も離れた、国際空港のあるゴヴェルナドール島に住居を提供すると申し出たが、住民の多くはリオ市中心部で露天商として身を立てており、この島は遠すぎる。
リオ州人権局広報担当のヴァルデッキ・シュウェンキ氏は、立ち退き中の住民の人権が脅かされないように、現場に赴いた。「当局としても、できるだけ人権に配慮した方法を取ることを模索した。住民たちも本来はここにいたくているわけではないのだから」と語った。
公選弁護人たちは、この日の内に、路上に出された住民の家財道具が打ち棄てられたりせず、彼らの指示した場所にちゃんと運ばれるように、立ち退き作業を見守った。(1月31日付アジェンシア・ブラジルより)