米州開発銀行(BID)がブラジル国内での暴力・犯罪コストを算出した。
2014年にブラジル国内で起きた暴力事件による損失を金額に換算すると、国内総生産(GDP)の3・14%に当たる2580億レアル(9兆円相当)の損失となったという。
ブラジル国内で最も頻繁に暴力事件が発生しているのは、北東部だ。
2000年から2014年までに人口10万人あたりの殺人事件発生率は、アラゴアス州で62・42%、セルジッペ州で48・72%、セアラー州で40%増大した。2014年のアラゴアス州の殺人事件発生率は国内最悪の10万人当たり56・1件、2位のセアラー州は42・9件で、同年の全国平均を21・2件まで引き上げた張本人とされている。
北東部は全体的に殺人事件発生率が増大しているが、唯一の例外はペルナンブッコ州だ。ペルナンブッコ州の殺人事件発生率は33%減少しており、67%減少したサンパウロ州、32%減少したリオデジャネイロ州と共に、最も発生率が下がった州に数えられている。
地域別の損失額をGDP比で見ると、北部と北東部は4・2%、中西部は3・1%、南部は3%、南東部は2・7%だった。
犯罪がブラジルにとってどれほど高くつくかを計算するために、BIDはブラジル人が身を守るためにいくら出費しているかを調べた。
BIDによると、身を守るために民間企業に支払われた額は1238億レアル(4兆3200万円相当)で、〃暴力・犯罪コスト〃の48%を占めた。BIDは、このことはブラジルでは治安維持のための公共サービスが充分とは言えず、多くの人々が日常生活でも身の危険を感じていることの表れと見ている。
なお、警察などの公共サービスの経費は、損失額の36・1%を占めている。北部や北東部での資金投入率は他の地域への投入率より高いが、それでも、民間サービスの経費より少ないという。
BIDはさらに、ブラジルは米国、中国、ロシアに続き、世界で4番目に囚人の数が多い国だとした。また、ブラジルの殺人事件の被害者で最も多いのは青少年で、15歳から24歳までの犠牲者は全体の35・7%を占めたことも発表した。
BIDによると、暴力事件による損失がGDPの3・14%という数字は、アルゼンチン、チリ、ウルグアイ、パラグアイ、ブラジルのコーン・スルと呼ばれる地域諸国の平均の2・47%を大幅に上回った。
また、損失額をラ米・カリブ海の17カ国で見た場合は、損失全体の53%をブラジルが占めるという。GDP比がブラジルを上回ったのは、ホンジュラス5・84%、エルサルバドル5・46%、バハマ4・16%、ジャマイカ3・64%の4カ国のみだった。
タグ:殺人事件 チリ アルゼンチン パラグアイ サンパウロ ウルグアイ サルバドル